19日目

文字数 586文字

 占いアプリが面白過ぎて、ついつい夜ふかしてしまった。

 遅刻ギリギリに職場について、上司から怒声が飛んできた。

「野瀬、お前は何しに会社に来てるんだ!」

 お金稼ぎに来ているだけですか?と言いたくなったが、ここで言い返して派遣業者にクレームがいったら、めんどくさい。

 私はとりあえず仕事を一生懸命するふりをし、昼休みには占いアプリをチェックし続けた。

「佐伯さん、このアプリ教えてくれてありがとう! いい占い師が見つかりそう」
「わあ、気にってくれたら嬉しいわ。野瀬ちゃん、波動が高くなってるんじゃない?」
「本当ですか?」

 褒められてしまい、頬がちょっと熱くなるのを感じていた。

「そうよ。私も自分で言うのはなんだけど、波動が高い方だし、人の波動はなんとなくわかるのよ」
「へー、佐伯さんってすごいんですね」
「ネガティヴ思考だったり貧乏人、イライラしている人、病人には近づかない方がいいわ」
「どういう事ですか?」
「波動が低い人には近づくなって事よ。知らずに影響受けるからね」

 佐伯さんは、社内の人の噂を色々教えてくれた。特に私の上司は、キャバクラ狂いで糖尿病も患っているという噂があるらしい。上司にはあまり近づかない方が良いとアドバイスされた。佐伯さんも最低限しか接していないという。

 私もそうする事にした。せっかく波動が上がってきているのに、上司のせいで波動が下がったらたまらない。
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登場人物紹介

野瀬青花

崖っぷちアラサー女子。

ひょんなことからスピリチュアルに騙されてしまう。

悠希

カフェ店長でクリスチャン

佐伯さん

青花と同僚。女子力高めでスピリチュアル好きな主婦。

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