第24話

文字数 1,173文字

 「ストレスが地球を駄目にする」
何れの御時にか、何処かの場所で、彼と彼女は出会う約束をした。そのことを女は何時しか想い出し、男はまったく想い出せない、というか、そんなものはひょっとしたら、想い込みの類かもしれぬ、そんな認識だった。

 公の場で、声をかけたのは男からだった。二人きりの時空で、言葉を投げ掛けたのは、女からだった。最初、巡り逢った時、男は女を美しく魅力的に感じたが、多分、家族がいるだろう、そう想像しあまり関わり合いを持とうという意識はなかった。

 一年余り経って、男も女も様々体験し、三か月ほど、SNSで親しく交流した。殆どの人に対し、「魂に対する態度」で臨み、嘘や誇張も好きではない性格でいつも率直に正直であろうとする男に接すると大抵の人は自身の防具を脱ぎ、他の人には話したりしないことも彼には話してしまう傾向があった。勿論、男はその相手が吐露した秘密を他言することはない。相手の許可が出た時以外は。以前、男はこの女の体験を作品として書いていいか、と尋ねたが、返答がなかったので、表現し発表した。それは、結構、沢山の人に勇気や気づきを与えられるだろうという確信があったためである。女も自身のかなりカッコよくはない体験を明かされることには結構、抵抗があったかもしれぬが、他者の役に立てるなら、まあ、いいかしら、そんな考えであったであろう。

 最早、出会って数年が経つ。「知り合った日から半年過ぎても」どころか、その8倍程もの間、「手も握」っていない。松山千春ではないが、「男はいつも待たせるだけで、女はいつも待ちくたびれて」の男女の立場が逆転している。

 勿論、自分のただの想い込みではないか、という恐れが男にはある。女からの言葉はなにもない。自分と相手を信じていられるか、それにすべてはかかっている。もし、ただの想い込みでもなにも失うものはない。と、想いつつも、内心、期待でいっぱいで思い詰めたこの年月がただの妄想だったら、如何にショックか。あなたに想像できるだろうか。

 青春時代というものをすっ飛ばし、世間一般で見られる家族を形成するという体験もオフにして、半世紀以上、生きて来た。だが、ここ数年の体験は青春と云われる年代以上に青春と呼ぶのに相応しい季節であった。

 多分、これから家族というものを形成し、多くの大きな物事をなしていく、という神託を受けている。ふたりとも、恋というものに溺れたい、という心情がある、と託宣があるが、そんなことに陥ってはいけない、とオラクルは告げる。

 「はーい、わかりましたよ」
天(神や宇宙という表現より、こう言った方がぴったりくる)や人、地、すべてに感謝し、より多くの人々、存在と共に至福に憩い、貪りや支配・収奪などのない世界を一緒に実現し、魂・命を燃やし、ユーモア・笑いで人々の心を明るく照らしていたい。
ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

登場人物はありません

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み