第19話

文字数 1,179文字

 「夢を信じて生きて行けばいいさと君は叫んだだろう 明日へ走れ 破れた翼を 胸に抱きしめて」自分は今、夢に生きている。「夢か現か幻か」現とは確かなものであろうか。否、現も夢や幻と殆ど違いがなきものではなかろうか。

 今は手の指の間から零れ落ちる砂のように絶えず過ぎ去り、未だ来ぬものが現に在るものごととなっていく。空腹の辛さはパねえもんだ。あなたは実感されたことがあるだろうか。胸がいっぱいの瞬間は腹が空いていることも忘れているが、懐が寂しく、食べ物がない時、仲間・同志の温かな送りもののおかげで胸もお腹も充たされて、彼(女)らには今でも感謝している。自分が愛のある人間でいれてるとしたら、すべて仲間に恵まれているお陰だ。以前のように頻繁な遣り取りはないが、皆で祝杯をあげれるよう精進している。

 「誰に対しても魂に対する態度」で接しているつもりだ。その人の経歴や言動の上辺ではなく、その人の真なるもの、本質とでもいうのが適切なもの、それが「魂」という言葉に自分が見出している意味だ。

 この世に「○○でなければだめ」「××ではいけない」ということはない。そんな制限を自身に課すのは得策かよく熟考してみてほしい。それは自分を幸せにしているか、を。

 自分があるのは他者のお陰。「君たちがいて僕がいる」この言葉の真実に気づかれておられるであろうか。そうして、「あなたのお陰で自分は幸せだ(幸せになれた)」と言って貰える自分になれたら(でいれたら)なんては幸せなことだろう。頬を雫が伝う……

 成功を夢見て一歩も踏み出せない人はとても多いように感じられる。成功出来ぬなら、あなたのその行動は無駄で意義なきものだろうか。亀仙人に大きな岩を動かせるようになるため修行をするよう言われ、くりりんは「無理だ」と感じ、精進しなかった。悟空は兎に角、強くなりたくて懸命に励んだ。その結果、山をも動かせるようになっていた。

 成功を誰もが夢見ているが、日常の変哲もない事柄に取り組んでいる状態、それ自体が幸せでは? 成功(岩を動かす=強くなる)するために毎日弛まず楽しく取り組むことにより、幸福(山を動かす=想像もしていなかった自身になれた)になれたら、素敵だと想わない? あなたが「成功したい」と感じているのは、それが「幸福」に繋がっているだろうから。そうなんじゃない?

 殆どの人が結果にだけ眼を向け、大事なことには盲(めしい)だ。つまり、生きること・人生とは過程、常に道筋だ。目的地に到達するまでの道中の体験・経験が生きている時間・活きられている空間だ。その中での葛藤や不満、怒り、落胆、焦燥、落胆、それらすべてを含めての人生だ。

 至福の涙に感激できる、辛く悲惨なあの日々に流した涙、苦しく死んでしまいたいと闇の中で藻掻いたあの季節に感謝が湧き上がって嬉しくて堪らない日が待っている。
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