第21話

文字数 1,100文字

 何れの御時にかの何処かの地域で、ある民族が他の少数民族を虐殺・虐待・殲滅せんとしていた。仮にこの加害民族を「ノー・グッド(いかん)」族と呼ぼう。

 この「いかん民族」は周辺の国も属国にし、世界征服を目論んでいた。虐待されていた民族たちは、このノー・グッドな状況に耐えられず、ついに蜂起した。これを人々は復讐と呼ぶのかもしれない。しかし、ただ虐殺されるがままでいて本当にそれでいいのだろうか。昔の聖人は、殴られても、その相手のために祈れ、と教えた。あなたは如何想い・感じ・考えるだろう。あなたの愛する人も含め、悉くが殲滅されんとしている状況にあることを想像していただきたい。それでも、復讐は連鎖する、と無抵抗を貫くのか?

 殺された人は「祟ってやる」と叫び、その後、その人を殺すよう命令した長官は間もなく死んだ。それから間もなく、「血で書かれた文字」「不吉な赤い空」「恐ろしい嬌声」など様々な凶兆が現れ、いかん民族の幹部は次々と急死し、遂に恐れをなし、少数民族に対する不当というか余りに悲惨な差別は是正された。

 一説によると最初に死んだ長官は、単に持病があったとか、本当は善良な人だったので良心の呵責に耐えられず、心を病んで自殺したとも、衰弱死したとも云われている。

 そして、「血で書かれた文字」は誰かがどんな風にかして記したものだと云われている(これだけ技術が発達した世界である意味それは容易ではなかろうか)。

 「不吉な赤い空」はまったくの自然現象で、心が荒ぶとどんなものでも不吉に感ずるだろう。

 「恐ろしい嬌声」はからくりははっきりとはしていない。ひょっとしたら、いつも嬌声をあげさせていた者が、あまりに聴き過ぎて、空耳だったのかもしれない。それが沢山の人に聴こえたということは、そんな人が如何に大勢いたかを物語っているだろう。


 以上は、あるグループで「復讐」について、様々、話し合って、自分が気になった事柄を自分で調べたり、考えたりする、確か「テイク・ホーム」とかいうのを促され、「楽しい復讐を考えてみる」と発言してしまったので、ひとつの例として、編み出したものである。

 読み返してみると、具体的な復讐について表現が弱すぎる、感じがする。自分はその場で、「幽霊となって復讐する」場合があるのではないか、と投げ掛けたが、賛同は殆ど得られなかったように感じた。

 「同じひとつの世界でそれぞれの宇宙を生きている」というのが、以前からの自分の着想で、「宇宙を飛び回っている」とか「前世や来世がわかる」「神仏と話が出来る」と告げられても、嘘だとはまったく感じたり、想ったりしていない。世界自体=不思議である。
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