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文字数 914文字
もう、俺の家に俺の居場所は無い。
悲しいが、それが現実だ。
全てを奪われた……あの「正義の味方」を詐称するクソどもによって。
だが……手に入れたモノも有る。
これだ。
真紅の朝日が描かれた白いヘルメット。
バイクのライダースーツを改造したものらしいが……それでも充分な防御力を持ってそうなプロテクター付の白いツナギ。
あの人は……居なくなった。
多分、「正義の味方」を名乗るクソどもに殺されたのだ。
だが、あの人はまだ死んでいない。
あの人が本当に死ぬのは……あの人の想いを受け継ぐ者が居なくなった時だ。
まだ、俺が居る。
俺が居る限り……あの人は死んでいない。
俺はヘルメットを被った。
俺は……2代目クリムゾン・サンシャインとなって……俺の輝かしい未来の邪魔になる奴らを全て排除する。
初代クリムゾン・サンシャインも、それを望んでくれてる筈だ。
まずは副市長の古賀からだ。
そうだ……きっと奴は裏で「正義の味方」を名乗るテロリスト達と手を組んでるに違いない。
とは言え、奴本人を血祭りに上げるのは最後だ。
奴の家族を痛め付けて、少しづつゆっくりゆっくりゆっくりゆぅ〜っくりと首を絞めるように精神的に追い詰めてやる。
だが、俺は優しい男だ。
優しくなければ強くなれず、強くなければ優しくなれない事は、良く判っている。
……俺の親父を廃人にした連中の一味だろうと、奴の心がブッ壊れた後、ちゃんと楽に死なせてやろう。
俺は、「正義の味方」どもの「正義の暴走」を止める為の綿密な計画を頭の中で練り始め……。
ん?
入らない……。
着れない……。
おい、このツナギ小さいぞ……。
上がんない。上んない。上がんない……。
チャックがヘソの辺りまでしか上がんない……。
不公平だッ‼
差別だッ‼
おい、人権屋どもッ‼ 何故、この重大な社会の不条理を見て見ぬフリをして放置してやがるッ‼
おい、ポリコレ肯定派どもッ‼
痩せてなきゃ、2代目クリムゾン・サンシャインになれないって、何かおかしいだろッ‼
クソッ‼