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文字数 919文字
しかし、七〇の爺さんが中学生の女の子の「お兄ちゃん」ってのは無理が有る。
女の子の方にはあらかじめデート・レ○プ用の薬を飲ませてある。
なにせ、古川のおっちゃんは少々手荒に扱っても反抗しない女にしか……まあ、その何だ……。
「じ……地獄だ……」
今回の最大の功労者である酒井が甘っちょろい感想を口にする。
「何、言ってる? このお花畑野郎が。俺の実家の方が、もっと地獄だぞ」
俺は、当然の指摘をしてやった。
TVにはネット配信の地域ニュースが映っていた。
『行方不明中の女子中学生ですが、塾の帰りに誘拐されたと見られており、誘拐場所と見られる公園の監視カメラは散弾銃により破壊されていましたが、一瞬だけ犯人と思われる人物の姿が写っていました。どうやら、独立系「御当地ヒーロー」の「クリムゾン・サンシャイン」のコスプレをした人物らしく……』
な……なんて事だ……とうとう、自称「正義の味方」のテロリスト達が本格的に動き出したらしい。
まず、自分達でクリムゾン・サンシャイン殺し、更に、その上でクリムゾン・サンシャインに誘拐犯の汚名を着せ……。
待て、何かおかしい。
最初に「正義の味方」を名乗るテロリスト達は、クリムゾン・サンシャインを殺した。
続いて、クリムゾン・サンシャインの名を貶めようとしている……まるで……まるで……そうだ、俺が2代目クリムゾン・サンシャインになった事を知っているかの……あっ‼
し……下の階の奴だ。
あいつは、確か、「正義の味方」の手先の筈。
そして、俺が新たなクリムゾン・サンシャインとなった事を知っている可能性が有る。
忘れないようにメモをしてポケットに入れておく。
「正義の暴走」をして世間に迷惑をかけてる独り善がりなクソどもの一味には……然るべき制裁を加えねばらならない。
それこそが、「正義の暴走」を止める最も有効で合理的で理性的な方法なのだから。