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文字数 1,214文字
くそ、くそ、くそ……。
これだから、「正義は必ず暴走する」「自分の正義を盲信する奴は、どこまでも残酷になれる」とか言われてるんだッ‼
あの「正義の味方」を名乗る暴徒どもは……独り善がりな「正義」に取り憑かれ……世にも恐しい真似をしやがった。
俺を助けるフリをして……あの時、俺が
ちくしょう……「正義の暴徒」どもによる俺への包囲網はどんどん狭まりつつある。
何とか……しなければ……なんとか……。
「あの〜、緒方さん。緒方さんの
何とかマンションに戻ると、山下がそう言い出した。
「へっ?」
「ここです」
山下は、自分の
「ちょっと待て、ここって……? よし、今から行くぞ」
「い……いや、待って下さい、もうすぐ夜の一一時っすよ」
「うるさい。行くぞ、車を出せ」
そして、車の運転を快諾してくれた山下と共に、俺の
「あ……あの……何で、あそこで落した緒方さんの
「古川のおっちゃんが拾ってくれたんだろ」
「い……いや、どうやって?」
「でも、ここに有るんだろ。それ以外、考えられない」
「でも……」
「だから、古川のおっちゃんに話を聞けば、全て判る筈だ」
「あ……あの……どちら様ですか?」
何故か、俺が落した
それは、
だが、当の古川のおっちゃんの家の前で、車から降りた俺達に
「そっちこそ、先に名乗……ん?」
一瞬、お巡りかと思った。
だが、そいつらの片方が着ている制服は……警察のものに似ているが、ビミョ〜に違う。
そして、警官の制服に似てる服を着てる奴以外に、もう1人。
こっちは作業着みたいな服装だ。
「警備会社の者です。詳細は言えませんが、この近辺で、ウチの会社と契約してるお宅で異変が起きた可能性が……」
「異変って何だ?」
「会社の規則により言えません」
「そうか……」
「で、貴方がたこそ、どなたですか?」
「俺は、この久留米市の次期市ちょ……」
「あああああッ‼」
何故か、山下が大声で俺の声を遮る。
「何だ、おい?」
「何なんですか?」
「あ……あの……この市の市長の選挙事務所の者で、この辺りに住んでる市会議員の
「その市会議員って、古川亮さんでしょうか?」
「へっ?」
「あの……何で、こんな時間に、市長さんの選挙事務所の方が……」
「あ……あの、ウチの事務所の者が、市会議員の古川さんのお宅に
おい、山下、山下のクセに、何、俺に無断で話を進めてる?
「えっと……あの……お宅で異変が起きた可能性が有るお客様は……その……市議会議員の古川さんなんですが……」