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文字数 1,316文字
どうなってんだ、おい。
俺と……正体不明のクリムゾン・サンシャインを乗せたバイクは……筑後川の上の橋を渡り……その
走る車の間を縫い縫い縫い縫い。あああ……車酔いが気持ち悪い死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死……。
「な……なにか……武器は……?」
「有った……」
運転席のクリムゾン・サンシャインは……たまたま横に居た古めのガソリン車を散弾銃で撃つ。
「うわあああッ‼」
爆発。
逃げ切れ……。
うわあああッ……。
炎の中から……護国軍鬼が乗ったバイクが出て来て……。
逃げろ。逃げろ。逃げろ……おねがいだから逃げき……。
「畜生。畜生。畜生……」
クリムゾン・サンシャインはガソリン車を見付け次第、次々と銃撃。
その内、いくつかは爆発炎上。
だが、護国軍鬼達は更に俺達を追い掛け続け……。
「何だと?」
おい、待て……。
まだ、冬には遠い筈だ……。
なのに……。
何で……。
何で……。
何で何で何で何で何で何で……何で……。
何で、
おい……あの「正義の暴徒」どもの異能力なのか、これ?
とんでもないスピードで走ってた所でスリップ。
バイクごと宙を飛び……。
「うがあああッ」
クリムゾン・サンシャインは俺の首根っこを掴み……空中でバイクから降り……いや、まだ地面に足が付いてないから、降りるってのも変だが……。
そして、バイクを思いっ切り蹴った反動で反対車線に入り……。
ドデンッ‼
運良く軽トラの荷台に落下。
「いたたたた……」
「くそ……また、壊れやがったか……」
「えっ?」
……あっ……。
そんな……。
いや……あの状況で……変な期待した俺が……馬鹿だった……。
「まあ、いいや、おめでとうッ‼」
そいつのスーツの色は……黒になったり……白になったり……。
「どんな気分だ2代目……? あんたがやってた動画チャンネルは、チェックさせてもらったよ。アカBANされる前に、全部、見れて助かったよ。お蔭で、あんたが何が好きで、何が嫌いか、よ〜く知ってるよ」
え……
「はい、インタビューのお時間です。『正義の暴走』が大嫌いな連続殺人鬼2代目クリムゾン・サンシャインこと緒方一郎さん。率直な御意見をお願いしまぁ〜すッ♥」
「お……おい……何だよ? 何が言いたいんだよ?」
「いやねえ……ここ1〜2ヶ月で、色んな事が有り過ぎて、ちょっと現実感ってヤツが無くなってさ」
「だだだだだ……だから……何が言いたい?」
「なんか……この『現実』が素人小説家が書いた下手なラノベじゃないか、そんな妄想に取り憑かれかけてんだよ、俺」
「はぁ?」
「で、そのラノベのジャンルは『ざまぁ』ものだ……で、俺が主人公で、あんたが『ざまぁ』な事になる悪役」
「だから……何が言いたいんだよッ⁉ 殺す気なら、さっさと殺せよッ‼」
「いや、俺は生きてて欲しいんだよ。あんたにとって、最悪の地獄になったこの世界で、みじめに生き続けて欲しいんだよ」
「へっ?」
「まだ判んねえのか? だからさ……ぶっちゃけ、どんな感じなんだい? あんたの大好きな『クリムゾン・サンシャイン』が、あんたの大嫌いな『正義の暴走』の象徴になった気分は?」