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文字数 561文字
冗談じゃない。冗談じゃない。冗談じゃない。
何で、こうなるんだ?
「緒方を渡せ」
「殺せ」
「殺せ」
「殺せ」
「殺せ」
デモのシュプレヒコールかなにかみたいな……妙にリズミカルな掛け声。
「や……やめろ……解散しないと……撃つぞッ‼」
「弾が足りるか、馬鹿め」
「馬鹿め」
「馬鹿め」
「馬鹿め」
「馬鹿め」
「緒方よ覚悟ッ‼」
「お前の最期ッ‼」
「覚悟ッ‼」
「最期ッ‼」
「覚悟ッ‼」
「最期ッ‼」
う……うそだ……暴徒達が……ジリジリと俺達に迫り……そして、その暴徒の姿は……俺の……俺にとっての……あこがれだった……。
やめて……やめて……やめて……くそ……。
ああ……あいつの……あの中二病野郎が言ってた事が……。
俺が……自分で、自分の死を願い……そして……俺が自分で、自分が人として生まれてきた事そのものを呪うほどの……絶望。
だが……それですら……絶望のズンドコでは無かった……。
「やめろ……」
何度も聞いた声。
あの……メスガキの「正義の暴徒」の声だ……。
だが……。
おい……嘘だろ……。
あいつらは……手加減していた……。
俺をいつでも殺せた。
あいつらの情けか……気紛れのせいで……俺は生きていられた……。
そんな……嘘だ……嘘だ……嘘だ……。