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文字数 1,119文字
あれから数日……次の行動を起こさないと、SNSや動画サイトの「同志」達が、俺達の存在を忘れてしまいかねない。
そして、「同志」達からの「投げ銭」が無いと……こいつらが生活出来なくなる。
「こいつら」とは……俺の部屋でダベってる連中の事だ。
自分達がやった事を撮影した動画に自分で「投げ銭」をするのも、そろそろ限界だ……。いや、「御当地ヒーロー」どものせいで、ロクな「成果」は出てないが。
「あの〜、緒方さん。このミニコミ誌に妙な記事が出てますよ」
一緒に「活動」をやっている堤が地元のミニコミ誌のページを開く。
富士山の噴火で、東京が壊滅して以降、「新聞」と言えば地元の地方紙、「雑誌」と言えば地元のミニコミ誌と云う状態になっていた。
内容は……俺達を助けてくれたヒーロー「クリムゾン・サンシャイン」を叩く記事だ。
「おい、それ、そこのいつもの記事だろ。目が腐る。そんなモン見せるな」
「いや……違いますよ。この写真良く見て下さい」
「えっ?」
その記事に載ってる写真は、クリムゾン・サンシャインの顔。
斜め上から撮ったらしい写真だが……クリムゾンサンシャインの顔は……カメラの方を向いている。
「だから、この写真が何だ。使い回しじゃないのか?」
「違いますよ」
「何で、そう言い切れる?」
「だって、背景……」
「えっ?」
そう言われて写真の背景に写ってるモノを良く見ると……。
「おい、これ……この前の団地?」
「で、この写真……誰が撮ったんですかね?」
「判る訳ねぇだろ」
「いや、良く考えて下さい。住民は、もぬけの
「俺達……じゃないよなぁ……」
「そりゃ、当然」
「確認した方が良くない?」
部屋でダベってた連中からは一斉に「違います」「俺じゃない」の声。
「クリムゾン・サンシャインも、まさか、自撮り写真を自分を叩いてるミニコミ誌に提供する訳は無いし……」
「ええ」
「じゃあ……」
「そうですよ……。もしですよ……俺達が、あの『御当地ヒーロー』達の正体を暴けば……」
「そうだ……そうだよ。ヤツらだって、寝る事も有れば、風呂にも入る。四六時中、自分の身を護るのは無理だ」
「俺達……下手したら、日本で初めて……『御当地ヒーローを倒した一般人』になれますよ‼『御当地ヒーロー』達をウザがってるみんなの英雄になれますよ、俺達‼」