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文字数 1,018文字
俺は古川のおっちゃんの行き付けのバーの個室で、おっちゃんにそう言った。
でも、何故だ?
全ては順調なのに、古川のおっちゃんは、げっそりした顔……。
髪は乱れてる。
髭は2〜3日剃ってないっぽい長さ。
ネクタイの結び方も、ビミョ〜に雑だ。
あれ? ワイシャツのボタン、かけ違えてないか?
何か心配事でも有るのか?
まぁ、いいや。
「そ……そうだな……。お……俺たちは……この辺り一帯の独裁者にだってなれるだろう……」
そうだ。
民主主義は正義だ。
そして、正義は必ず暴走する。
その暴走を止めるには……俺達が独裁者になるしかない。
酒井(
つまり、例えば、俺達を冤罪で逮捕しようとした警官が居たとする。それに対して「俺達の仲間が、お前の上司の子供の通学路を知ってるぞ」と脅す事が出来る訳だ。
県警・広域警察支局・検察の主立ったエラいさんは……半分以上が男だ。
嘆かわしい事に、女の警察幹部や検察幹部が増えてるらしいが……それでも、まだ、七〇%前後は、ちゃんとした大人の男だ。
つまり、俺達と理性的で現実的な交渉が出来るって意味だ。
きっと、家族の写真を見せれば……俺達の言う通り、関東難民を久留米から、いや福岡県から、何だったら九州から追い出し、「御当地ヒーロー」「正義の味方」どもを見付け次第銃殺する事こそが、この狂った世の中を正常に戻す唯一の手段だと納得してくれるだろう。
「あ、そうだ……預けてある古賀副市長の娘ですが……定期的に、このクスリを飲ませて下さい」
そう言って俺は、デート・レ○プ用の
「あ……す……すまないね……。でも……どうしてだろう……? ここんとこ……勃たなくなったんだよ……。お……俺も齢かな?」
「何言ってんすか? 俺が親父の跡を継いで市長になったら、古川さんに助けてもらわないと」
「あ……ああ、そうだな……。まだまだがんばらないとないとなななな……あ……あれ? ほんとうにとしのせいかな? すこししかのんでないのにのにににのののに、もう、こんなによいが……あれ?」
ガチャン……。
古川のおっちゃんは、手の震えでグラスを床に落した。