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文字数 900文字
追った。
追った。
追い続けた。
俺は、あの中二病野郎を追い続けた。
……はずだった。
すぐに息切れがして……目が回り出した。
そして……。
市役所そのものが大回転して、目の前に廊下の床が……。
いや、違う。
運動不足のせいで、ちょっと走っただけでブッ倒れただけだ……。
そして、大勢の足音と声。
警備員?
警官?
制服が似てるんで、どちらかは判らない。
もう、目も霞んで……。
あれ?
白い影が……次々と警備員だか警官だかを叩きのめしている。
やった。
やったぞ……。
もし、俺が現実だと思ってたモノがラノベだったなら……ジャンルは「ざまぁ」ものだ。
ざまあ見ろ、中二病野郎。
おい、「見習い君は俺の妄想の産物だ」とか言いやがったな。
それこそがお前の妄想だ。
この通り、見習い君は実在してるじゃね〜かッ‼
この俺が、3代目クリムゾン・サンシャインに見込んだ男の大活躍を見て、悔しがって、女みたいにヒスを起こしやがれ、ざまあ見ろッ‼
「先輩、大丈夫ですか?」
「あ……ああ……助かったよ……」
「水持って来たんで、飲んで一息付いて下さい」
手袋まで白一色の腕が……俺にペットボトルを渡す。
「す……すまん……ヘルメットを取るの手伝ってくれるかな?」
「はい…ちょっと待って下さい……」
ヘルメットを取った俺はミネラル・ウォーターを飲んで呼吸を整え……。
「ところで先輩、あれを見て下さい」
「えっ?」
見習い君が指差した方向には……監視カメラ……えっ?
「じゃじゃ〜ん♪」
おい……もしも、もしも、もしも、もしも、仮に仮に仮に仮にだ……俺が現実だと思ってたモノが……ラノベだとしたらだ……おい、阿呆作者、出来が酷いのだけは許してやるから……勝手にジャンル変更するんじゃね〜、ボケっ‼
おい、ホラーものなら、最初から、そう説明しろッ‼
監視カメラを指差していた見習い君の手がいつの間にか、白から黒に変っていた……そして……。
「市役所の監視カメラが撮らえた衝撃映像ッ‼ 連続殺人鬼クリムゾンン・サンシャインの正体はッ‼ 緒方市長の馬鹿息子でした〜ッ‼」
俺の横に居たのは……見習い君ではなく