第6話 新人さん?
文字数 1,439文字
毎日があっという間に過ぎていく。
ある日、上司がはなびの肩を叩いた。
そんなことが許されるんだ、と思いつつはなびは新しいデスクの準備をした。
左隣にゆきこ、右隣に右近。
質問を受けても、これなら気軽に応えられるだろう。
そう言いながら右近は席を立った。
部署から去っていく彼の後ろ姿を見送りながら、はなびは小さくため息を吐くと彼に指示した業務を始めた。
結局その後、右近が職場に戻ってくることはなかった。
はなびは終電まで残業をした後、静かに退社した。
自宅の最寄り駅で降りた先に、コンビニがある。
本来なら格安スーパーで買い物をするのだが、この時間は閉店していた。
コンビニに入り、惣菜や冷凍食品を買い漁った。
と、その時。
突然声をかけられ、はなびは考え込んだ。
顔に覚えがない。
昼間の記憶が思い起こされる。
新人として紹介されたが、すぐにどこかに行ってしまった男だ。
はなびは足早にレジに向かうと会計を済ませ、帰途についた。
購入品を食べる分だけ取り分けて残りは冷蔵庫・冷凍庫にしまい込み、シャワーを浴びて食事を済ませると、ベッドに潜り込んだ。