第29話 買い物
文字数 1,407文字
滅多に行かない新宿行きの路線に飛び乗る。
混雑する電車の中で、スマホを取り出して検索をかけた。
大急ぎであちこちを見て回ったが、しっくり来るものが見つからなかった。
目的のものが得られず、諦めて今度は反対側の池袋に向かう。
池袋には、目的のものが幾つも並んでいた。
可愛らしくラッピングされたプレゼントを入れた紙袋を更に大きめの紙袋に入れて携え、開いた座席に座ってひと息ついた。
帰宅後、晶と幾つかのLINEのやり取りを交わし、やがて眠りについた。
翌日。
目が覚めると晶からのメッセージが大量に溜まっていた。
会社に着くと、警備員以外は誰もいなかった。
はなびは警備員に軽く挨拶をすると、誰もいないオフィスに向かった。
軽く室内を掃除し、ディスクにつく。
自主的な早出である。
やがて、ゆきこが出社してきた。
にわかに皺の出来た紙袋から、皺一つない可愛らしいデザインの紙袋を取り出す。
中には、包装されたプレゼントが入っていた。
ゆきこは手渡された贈り物を見て、目を輝かせた。
ゆきこは始終機嫌が良さそうに過ごしており、話しかけてくることも少なかった。
過集中モードで仕事を片付け、定時になるころに仕事を切り上げることが出来た。
帰りの支度をしていると、ゆきこが笑顔を向けてきた。
夕食のことを考え、途中でスーパーに寄ることにして帰宅路線を脳内で組み直し、駅へと向かった。