第4話 ナンパされちゃう?
文字数 1,601文字
並んで座った二人は食事を摂りながら、ぽつりぽつりと会話を進めていく。
話は弾み、やがて食事を終えた二人はお冷を時折含みつつ仲を深めていく。
お冷を煽った後、グラスを置いて晶はにんまりと笑った。
カバンからスマホを取り出すと、二人はLINEのアカウントを交換しあった。
はなびのアカウントは
「線香花火」
晶のアカウントは
「アメジスト」
となっていた。
それから二人は揃ってスマホをイジり、あらかた確認を終えた後にスマホをカバンにしまい込んだ。
晶はちらりとはなびに視線を送る。
ナンパだ、とはなびは思った。
自分のような地味な女に、パリピで陽キャな雰囲気の晶が興味を持つなんて有り得ない。
大方、新しい彼女が欲しいのだろう。
そう考えた後、はなびは少しうつむいた。
二人は別会計で支払いを済ませると、店を出た。
はなびは軽く会釈すると、足早に駅に向かった。
時刻は20時を回り、駅の構内はやや混んでいた。
心臓がドキドキする。
ガッカリしたような腹が立つような、なんとも言えない感覚に襲われる。
肌寒い駅のホームで、スマホを少し見る。
LINEは誰からもメッセージが届いていなかった。
スマホをカバンに仕舞うと、はなびは到着した電車に飛び乗った。
座席に座り、少しの興奮と落胆を胸にそっと目を閉じた。