第69話 嘘みたいな展開
文字数 1,698文字
はなびは家に閉じ籠もったまま、外が夏色を帯びていくのを見守る日々を送っていた。
相変わらず、心春とのLINEが続いている。
はなびはスマホの電源を切ると、少し乱暴にソファーベッドに放り投げた。
晶は標準男性よりも整っている顔立ちであると思う。
しかしこの状況の場合、どんなに顔が良かろうと心春は嘲笑ってくるだろう。
少なくともはなびはそう考えていた。
ひとりごちながら、パソコンの画面に向かった。
やがて、日が暮れる頃に晶が帰宅する。
二人は当然のように一緒に入浴をし、やがて夕食を取った。
ソファーベッドで休んでいると、再びはなびのスマホの着信ランプが灯る。
明後日な方向にオチがつき、二人は小さく笑い合う。
その週の休日は、珍しく新宿に繰り出すことにした。
引っ越しの準備の為に、ハンズに行くためだった。
ルミネの中で思わぬ人物に出会い、はなびは小さく飛び上がった。
そそくさと去っていく心春の後ろ姿を見送りながら、晶は顔を顰めた。
狐につつまれたような気になりながら、二人は顔を見合わせた。