第28話 かんがえること
文字数 1,520文字
はなびはのろのろとスマホの画面を開く。
小さな溜息を、一つ吐く。
昨日のメッセージのやりとりで、晶も同じ姿勢であることが伺えた。
他の異性とお付き合いをしたことがないので男女交際における会話のパターンの経験がないが、漫画や小説ではこのような展開に陥った場合、亀裂が入ることがあるだろう、となんとなくだが予想した。
晶は話すことは優しいが、時折冷静な態度を取ることがある。
それは時に、他者に冷たくみられることもあるだろうとも理解していた。
その間に、簡易モップで軽く床拭きをする。
土日に晶がまた家に来るかもしれない。
少しずつ掃除をしておかねばならない。
出勤すると、はなびのディスクの上に何かが置いてあった。
手にとってみると、それはなんとコンドームの箱であった。
彼女の強情な態度に辟易しながらも、はなびは受け取ることにした。
開封済であり、箱の中には銀色の包みが2つ入っている。
正直、受け取りを躊躇するものだ。
しかしお返しを考えねばならぬ、と密かに思う。
更に、ここは値段指定をしてきたと受け取る方が良いだろう。
2500円なら、少し値段を高めに設定して最低でも3000円程度の品を礼品として返さねばならない、と考えた。
お菓子が良いか、化粧品が良いか、その他物品が良いか。
その内に、はなびはふとゆきこに訊ねた。
終電近くまで残るつもりでいたが、19時には退社するように全身全霊で過集中モードに入り、業務を片付けていく。