第58話 俗かもしれない
文字数 1,665文字
義勇太から記名済みの婚姻届を受け取ったはなびは、彼に深く礼を言って大切そうにカバンにしまい込んだ。
心なしか、義勇太の顔面の筋肉がいつもよりゆるんでいる気がしたが、見ないことにした。
はなびは肩を落として、会社を出る。
落ち込んだ気分のまま、自宅のドアを開けたその時。
扉が自動ドアで開いた。
驚きつつ、はなびは小さく笑うと部屋の中に迎え入れられる。
二人は家の中に上がり、和やかに食卓についた。
はなびは晶がやたらと目を輝かせて、ふわふわとしている様子が気になった。
訝しげに彼を見つめる。
晶が不服そうにしているのを見て、はなびは顔を顰めた。
俗っぽく見られたのだろうか。
またしても腹を抱えて笑う晶を、はなびは複雑そうに見ていた。