第53話 パンチつよすぎ
文字数 1,549文字
はなびは憂鬱な表情でソファーベッドの上で寝転がっていた。
テーブルの上にある一枚の用紙。
歓喜の光となる筈だったが。
先日、はなびは実家に電話を入れた。
結婚を伝えると、なんと両親は激昂してはなびに縁切りを言い渡してきたのだった。
はなびは重い溜息を吐く。
暫くして、晶が帰宅した。
すぐに起き上がると、晶の荷物を受け取った。
紙袋の中を確認すると、中には明太子の箱があった。
近年、御当地銘菓の数が格段に増えた為、オリジナリティなるもの要素が年々薄くなりつつあった。
かもめの玉子のパチモンが全国で手に入るという事態に陥るなどだ。
やがて、夜は更けていった。
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朝日が差し込むカーテンと、二つ並んだぬいぐるみの影を見ながら、はなびはそっと口を開く。
暫くしてから、はなびは再び口を開いた。
うちは、福祉支援の延長で全盲の按摩師の方を雇っていたんです。
住み込みで。
江崎東彦さんっていうんですけど、彼は鍼灸が物凄く上手くて。
それで、うちは整体よりも鍼灸マッサージの方が人気になるくらいだったんです。
そう言いながらも晶は布団に潜り込むと、夕方まで寝込んでいた。