第22話 カップルのやりとり
文字数 1,768文字
くすんだ黄色の表面に霜が下りたような見た目の円錐台の形をした本体の頂上には、生クリームと真っ赤なチェリーが添えられていた。
そんな彼女を、晶は優しく見つめる。
ギャルをやるのはお金がかかります。
髪を染めるのも、お化粧をするのも、服を揃えるのも。
ヒールを履くのは辛いですし、ネイルも研究する時間がなくて。
中途半端に華やかにするくらいなら、いっそ地味を貫きます。
スプーンを手に取り、プリンのカラメル部分の端を控えめに掬い取る。
店内の時計をちらりと確認した晶は、そっとはなびに尋ねる。
昨日の今日で大進展であると密かに思うが、晶は元々押しが強い性質のようだ。
25の男性なら、このくらいは普通なのだろう。
はなびは小さく頷いた。
静かに二人は立ち上がると、颯爽と会計を済ませ店を後にした。
闇色の狭い室内で、はなびはぼんやりと見慣れた天井を見つめた。
隣にいる晶に、ちらりと視線を移す。
それからすぐにはなびのアパートへ向かい、茶などを出す間もなく。
即であった。
スマホの画面を確認すると、22時を指している。
肉体と精神の侵入について、はなびはぼんやりと考えこんだ。
いつか夢見たことが、現実となった。
何か特別な事でも起こるかと考えていたが、変化があったようには感じない。
少しの鈍い痛みが残っているのみ。
しかし、晶の侵入を許した事は、物理的には何も変わらなくても自分の精神成長段階という視点から一歩前進となったかもしれない。
落ちている服を拾って身に着けようとすると、後ろから抱きしめられる。