第27話 唐突に
文字数 1,311文字
帰宅後、はなびが夕食の支度をしてテーブルに付くと、スマホの着信音が鳴った。
はなびは期待しつつスマホを手に取る。
スマホ画面を見つめ、はなびは晶のメッセージを眺めた。
少し迷ってから、再びフリック入力を始める。
勢いで打ってしまったが、自分でもキツイことを言っている、とはなびは思う。
通常の男女交際なら、きっと関係性に亀裂が入ってしまうだろう。
そう気付いてから、送信したことを後悔した。
少し心臓が跳ねそうになりながら、返信を待つ。
晶からの返事は柔和であった。
はなびは少し考え込み、力なく返信をフリック入力していく。
信じられない気持ちで、再びスマホの画面を凝視する。
まさか、本気だろうか?
あまりにも急過ぎる気がする。
先ほどの悔やむ気持ちが吹き飛び、眼の前がチカチカした。
なんて返すのが良いのだろう、とはなびは再び思考に耽る。
息が上がる。
喉が詰まったようになって、呼吸が出来ない。
どうしてこうなった?
なにが彼をそうさせた?
私は、何を言った?
はなびは混乱に乗じながら、そっとスマホをテーブルの上に置いた。
すっかり冷めた夕食に目をやるが、食欲がにわかに失われている。
しかし、空腹ではある。
明日もある。
食べなければならない。
再びスマホを手に取り、LINEの流れを何度か見返した後、スマホを置いて今度は箸を手に持った。