第21話 他愛ない会話
文字数 1,587文字
夕方のやや湿った風が、ゆうるりと道路を通り過ぎていく。
やがて二人は目的の店に到着した。
そこは、小洒落た喫茶店だった。
はなびは不思議そうに晶を見上げ、そんな彼女に晶は小さく笑う。
少し重めなステンドグラス調のデザインの扉を開くと、金属製のベル音が鳴った。
ウエイトレスに案内され、店内に侵入していく。
店の奥の席に通され、晶は椅子に、はなびはソファー席に座った。
やがて、おしぼりとお冷が運ばれてきた。
二人は揃ってメニューを覗く。
注文内容が決まっていなかったので、ウエイトレスが来たついでに注文、という流れには持っていけなかった。
そうかもしれません。
でもごめんなさい。
うちはバターもマーガリンも置いていないんです。
キャノーラとごま油だけで。
本当はマーガリンのナポリタンを作ってみたいんですけど、あまり冷蔵庫の中身を増やしたくなくて噂を試せずにいます。
やがて、二人は同じナポリタンを注文した。
飲み物はお冷で良いとなり、デザートにプリンを注文する。
やがて、料理が運ばれてきた。
小鉢のサラダとナポリタンがテーブルに並ぶ。
静かに食事を始める二人だったが、はなびは少し恨めしそうに晶を見つめていた。