意外と大人になった兄

文字数 514文字

兄に再会すれば襲われるかも……と心配していたヤコブの想像を裏切り、エサウはかつて自分が騙されたことなどなかったかのようにヤコブとの再会を喜びます。さらに、ヤコブから送られた贈り物も、自分には何でも十分あるからいらないと断ります。


思っていたより大人な対応……結局、ヤコブがしきりに勧めるのでエサウは贈り物を受け取りますが、それからも彼がヤコブを襲ったり恨んだりする様子は出てきません。振り返ってみると、自分の結婚した相手が父と母の気に入らないところと知って、同じ親族の中から妻を迎えた過去もあるエサウ……実は、一族の中で誰よりも家族思いだったのは、案外彼だったのかもしれません。


イサク、リベカ、エサウ、ヤコブの家族は、決して理想的な家族像だったとは言えません。けれども、ボロボロに崩れた家族関係が、どういうわけか最終的に回復されます。その過程には、彼らの誠実な行動や良心的な振る舞いがあったわけではありません。むしろ、不安、葛藤、弱さを幾つも見せながら、気がつくと仲直りしていました。


回復する力のない者が、回復するはずのない関係を回復される……いったいなぜ? 誰の力で? それを考えさせる書物……それが聖書ではないかと思うんです。

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登場人物紹介

白兎のシロウ。

聖書を読み始めた。

黒兎のクロウ。

シロウの親友。

足長兎のナガオ。

シロウに茶々を入れる役目。

硬兎のカタナリ。

とりあえず硬い感じに生きている。

幽霊のヤドナシ。

ちょこっと解説してくれる。

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