自然環境との共生
文字数 1,657文字
前回の小論(2019/05/21)では、5月18日(土曜)に実施された「共生入門」の総合的なポートフォリオを作成しました。本稿では、先日のグループ発表で筆者が担当した「自然環境との共生」を取り上げ、それを実現する共生社会と、そのために私自身が研究すべき展望を考察します。
先日のグループ発表において、筆者は「自然環境との共生」を要約するキーワードとして「神話の叡智」「地球・宇宙の『心』」「文化的景観」「持続可能性」を挙げた。世界各国の神話には、人間に対して恩恵と脅威の両面を及ぼす「自然」への畏敬精神が込められている。地球・宇宙は、物理化学的な法則に基づいて存在しているものの、実際の現象には多くの要素が複雑に連関し、人類の予測通りにならない「想定外」の事態(地震津波や隕石など)もあり、自然環境を理解するためには、「他者」の声に耳を傾けるような、謙虚な姿勢が求められる。
自然を尊重し、理解する事で、人間社会と自然環境の共生に取り組んでいる地域の事例として、日本には「里山」という言葉があり、ユネスコも「文化景観」という概念を提示している。こうした現場の事例を学ぶ事は、国連が提唱している「持続可能な開発・発展」の実現に向けた、グローカルな行動に結び付く事が期待される。
では、「人と自然との共生」を含む共生社会の構築に向けて、私達は何を為すべきか? 前回も述べたように、横浜国際福祉専門学校(青葉区・横浜事務局)における議論で、私達の班は「相手を知り、受け入れることが大切!」という共通認識を提示したが、これを筆者自身の立場から、自分に何ができるか、何をすべきかを考えたい。相手を知る方法としては、「対話」や「研究」を挙げる事ができるが、筆者が所属している星槎大学の「共生科学」において、どのような探究・実践が望まれるかを展望する。
筆者は、國學院大学と法政大学で地理学を専攻し、特に埼玉県の「見沼」と呼ばれる地域を研究した。本稿の紙幅では詳説できないが、埼玉県南東の大宮・浦和・川口に広がる見沼は、首都圏にあって「人と自然との共生」を散策・巡検しながら体験的に学ぶ事ができる、貴重な文化景観であると考えられる。自然と人間の関係を考察する「環境論」の研究を誇る地理学は、環境科学・共生科学において重要な役割を果たすべきである。そこで、こうした地理学を含む環境分野からの共生研究を、筆者の関心として挙げる事ができる。それは、自らの郷土をより深く知る事にも通ずる。
そして、地球世界には多種多様な「地域」があり、百花繚乱の「文化」が存在するが、異文化を尊重し、自らの文化をより良く楽しむ人生を創造するには、芸術や宗教など「心」への理解が大切となる。また、筆者は地元で教育の仕事に携わっている事もあり、人権が擁護される社会を築く上で「イジメ」や「発達障害」の問題は避けて通れない事を痛感しており、自閉症サポーターや教育カウンセラーなどに関する知識の重要性も増している。
以上の点を踏まえて、筆者が星槎大学で探究すべき分野を、具体的な科目として例示するならば、下記のようなカリキュラム計画を試案できる。これは4年次編入学の卒業要件に準拠しているが、筆者は卒業後も資格取得や生涯学修を見据えており、実際の科目はより多くなると予測される。なお、文末に関連資料の一部を列挙した。

◆ 島崎晋『徹底図解 世界の宗教』(新星出版社2010)
◆ 上野和彦・椿真智子・中村康子 編著『地理学基礎シリーズ1 地理学概論 第2版』(朝倉書店2015)
◆ 宮澤保夫『人生を逆転する学校 情熱こそが人を動かす』(角川書店2016)
◆ 宮澤保夫『必要なところに私は行く そして必要なことをする』(丸善雄松堂2018)
◆ 山脇直司 編『共生科学概説 共生社会の構築のために 教育・福祉・国際・スポーツ』(星槎大学出版会2019)
◆ 教務部職員『共生入門テキスト』(星槎大学2019)
2019/08/17