第18話 小梅、ガタピシの時空転移装置に震え上がる
文字数 800文字
「あかしあの里」への先輩訪問について教育部長に方向した小梅は、教育部長から勧められるままに、今年から始まったという「日本怪談成立支援機構」との人材交流研修に参加することにした。
そして、今、「日本怪談成立支援機構」教育部のコレ・ミタローと時空転移装置で江戸時代に移動中なのだが・・・
えっ、時空転移中は、いつも、星が見えてますよ。「昔話成立支援機構」さんの時空転移装置では、窓の外に違ったものが見えるんですか?
時空転移中、窓の外には、無数の光の筋が矢のように飛んでいくのよ。窓の外の景色が変なだけなじゃない。
乗り込むときに見たけど、この時空転移装置は、溶接構造でしょ。
気がついていただけましたか。ラムネ星でも5本の指に入る超一流の溶接工だけが、うちの時空転移装置をつくる資格があるんです。
だから、一台つくるのに、1年近くかかるんですよ。
あのさぁ~溶接って、ラムネ星では、前世紀の技術だよ。
「昔話成立支援機構」の時空転移装置は、全部、特殊合金を3Dプリントして作ってる。
だから、全体が均質で、ガタピシしたりしない。
それが、なによ、この装置は!
さっきからガタガタブルブル震えて、あたしは、頭を天井にぶつけてばっかりだ。
こんな時代遅れの転移装置を使ってて、「怪談機構」では、事故率、どのくらいなの?
5パーセントです。
この10年間で4分の1に減らしたんです。
10年前は、5人派遣したら、1人は暗黒宇宙に消えていたってわけ!
ああ、うちは2人乗りが標準ですから、10人送ったら2人が行方不明になってました。
うそ、サ・イ・ア・ク!
教育部長にだまされた。
「簡単で安全な仕事だし、『むかし、むかし』なんてアイマイな時代でなく、江戸時代という特定の時代に行けるから楽しいよ」とか言って、あたしを、この人材交流に送り出して、事故率が5パーセントもあるなんて、全然、言わなかった。
ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)