二十二
文字数 742文字
「私は先生から、次のような話を聞きました。『聖人は俗務に従うことがなく、利を求めようとせず、害を避けようともしない。人から求められても喜ぶこともなく、定められた道に従うこともない。
無言のままに真実を語るかと思えば、ものを言いながら何事も語らない。このようにして
しかも先生自身は、これを口から出まかせの、でたらめだと言われるのだが、私はこれこそ霊妙な道のあらわれだと思う。あなたは、どう考えられるかね」
すると、長梧子は答えた。
「それは
それに君も
では、ひとつお前のために、でたらめを聞かせよう。お前も、いいかげんに聞き流しておればよい。どうだね。
聖人というものは、日月と並び、宇宙を小脇こわきにかかえ、万物を一体に合わせ、すべてを
俗人どもは、あくせくとして心身を労するが、聖人は愚鈍で、いっさいを忘れる。
万年の久しきにわたる変化のうちに身をまかせ、しかも、ただひとすじに純粋な道を守り通す。
万物をあるがままによしとし、あたたかい是認の心でこれを包むものである」
── 丁寧な「道」… 荘子の思想の解説と思う。
聖人とか、至人とかいう言葉があるが、何ということはない、誰でもそうなれる感じがする。
そう、なろうとすれば。ただ荘子は、そんな「なろう」とする意思も「人為」とするけれど。