ハッピーエンド

文字数 1,558文字

 私はハッピーエンド至上主義です。書く時だけでなく、読んだり観たりする分にも。
 昔はそんなことなくて、若い頃は救いのないヨーロッパ映画観たり、暗ーい文学読んだりして感じ入ったりしてました・笑。
 でも年取ると、救いのない物語は好んで見たいものではなくなっちゃいました。
 現実で苦労してなかったから、創作物の中で悲惨なもの見て分かった気になってたんだと思います。
 いや勿論、若者なりに苦悩とかはあったんですが・笑。
 歳を取ると解答のない物語より、たとえこじつけでも何某かの解答や救いのある物語の方が好ましく思えるようになりました。

 とはいえ、問題提起的な作品での必要なバッドエンドは、後味悪くても納得できます。
 ちょうど執筆仲間に紹介したのでここでも触れてみますが、アイ・イン・ザ・スカイという戦争映画があります。
 ドローン攻撃における民間人の被害をどこまで許容できるか? 一人の少女の命と八十人の人間の命のどちらを救うのか? という答えのない問いがこの映画のテーマです。
 ドローンが戦争で重要な役割を果たすようになり始めた頃、実際に戦場に行かずにテレビゲームのような感覚で人を殺せることが問題にされていましたが、最近ではドローンのパイロットの心理的負担についても問題になっています。
 そんなことまで真正面から描いたこの映画は決して観て楽しい、愉快な作品ではありません。ですが、観て良かったとは思わせてくれる内容です。

 ふと思い出したのですが、昔「コーカサスの虜」という映画が大好きでした。
 これも決して気楽な結末の映画ではありませんが、大人になった今観ても間違いなく名作だろうと確信してます。
 こうして書いてたら観返したくなってきたな。どっかで観られないかな。

 ハッピーエンド至上主義ですと作者が書くと最大のネタバレみたいですが、私の書くハッピーエンドは王子様とお姫様はお城で末長く幸せに暮らしましたとさ、めでたしめでたしってのを目指してるわけでもないから、まあネタバレしても問題はないだろうと思います。
 例えば主人公が汚泥の中を這いずり回ってるとして、最後に一ミリでも顔を上げる、いや実際には上げないまでも、上げようとするというところで、私にとっては十分ハッピーエンドです。
 なんですかね? 希望ってことですかね? たぶん。
 希望があるってとこまでいかなくても、希望を探そうとしてる、希望を求めてるってだけで十分だと思ってます。

 主人公には明日がある、その明日は今日とは一ミリでも違ってるかもしれないって感じられれば、それは私にとってハッピーエンドです。
 私の苦手なバッドエンドは、主人公が果てしもなく堕ちていって、救いはありません、未来はありません、みたいな後味の悪いやつですね。
 海外ドラマでいうと、十代前半の女の子をヤクの売人が騙して夢中にさせて、女の子の方は恋人だと信じてたのに売春を強要されてヤク漬けにされて、逃げ出すこともできずボロボロになって最後は薬の過剰摂取で死んじゃう、みたいなの。
 たぶん現実にはそんな少女たち、かつて少女だった女性たちが沢山いるんでしょうけど、自分の創作物に登場させたいという気持ちにはなれません。
 伝聞形式のエピソードでならアリかもしれませんが……いや、別に私が書いてるのは社会派小説でも何でもないので、登場させる必要もないんですが。

 なんかね、現実にはこんな悲惨なことがありますよ、現実ってこんなに汚くて絶望的ですよ、っていうのだけ見せられて、突き放されて終わる物語は、この歳になると辛いなあと感じます。
 なんで今日はこんな話しちゃったんだろ?
 言いたかったのは私はハッピーエンドが好きだ、私の書く物語は必ずハッピーエンドですよ、てことだったのに・笑。

二〇二〇年十二月十四日
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