第51話
文字数 1,472文字
「え、この車高いのよ! 赤羽さんダッシュボードを開けて、中に銃があるわ!」
「銃ですか?」
私はダッシュボードを開けると、本当に一丁の小型拳銃があった。それは弾が6発の回転式拳銃だった。違法なものを目の当たりにしてしまった。
私は緊張した体を叱咤して銃を握る。
「赤羽さん。弾倉は三つしかないから気を付けて!」
霧画がスピードを上げて警告してきた。
後方の大勢のバイクが一斉に霧画の車に向かって迫ってくる。
「撃つぞ!」
私は助手席から外へと身を乗り出して、迫りくるフルフェイスに闇雲に撃ちまくった。(銃を撃つのは刑務所以来だ)何台もフルフェイスが倒れ地面に激突するが、相手はフルフェイスのヘルメットなので表情が見えない。弾丸が無くなったら素早くリロードをし、無我夢中で撃つ。
しかし、フルフェイスは多勢だった。
そのうちの一人が猛スピードの車を追い抜き、先頭で牽制をしてしまった。
これでは車が動けそうもない。
車の両脇にもフルフェイスたちが迫り斧やバットを一斉に振り下ろしに来た。
「きゃあ!」
後部座席の両方のガラスがハデに割れて、呉林と霧画が悲鳴を上げた。安浦が目を覚ます。
私は破れかぶれで一人を撃った。私側の一番近い奴だ。
四発も撃った。何とか一発が命中したようだ。フルフェイスは遥か後方へと転がりながら消えて行った。
発砲の轟音で車内の呉林たちが目を白黒させる。安浦は悲鳴を上げた。
もう一人、そいつは安浦側にいる奴だ。再度、斧を振り下ろそうとしているので、私は上半身だけ車の外へと出し、今度は2発打ち込む。
強風で狙いが定まらない。一発が奇跡的にフルフェイスの胸に命中してくれたようだ。フルフェイスはバイクから横倒れになり、アスファルトの地面に激突する。
両脇のフルフェイスはまだ大勢いるのだが、銃の弾を撃ち尽くしてしまった。
私は不思議な力を使おうと銃を車の中へと捨てた。周りを獲物に群がるピラニアのように囲んでいるフルフェイスたちに力を発し続けた。フルフェイスたちのヘルメットが首ごと吹っ飛び全身から血が吹き上がる。
いつしか、前方の車を牽制しているバイクだけになった。
そのフルフェイスは斧ではなくダイナマイトのようなものを片手に持っていた。私は冷や汗を流し不思議な力へと意識を集中して、前方のフルフェイスへと向けようとしたが、正面からくる風圧と猛スピードでの走行の中で狙いが定まらない。霧画が車のスピードを上げる。
すると、霧画が以外な行動をする。更にスピードを上げたのだ。
猛スピードの車体にガシャンという派手な音と衝撃が走る。前を走っているフルフェイスがどこかへと消えた。私はというと、車体に体を必死に固定させていた。ダイナマイトのようなものは遥か後方で大爆発をした。
「ひっどーい。車がおシャカになったわ」
自分でぶつけといて霧画はがっくりした。
「赤羽さん……」
呉林は何分も私の顔を見ていた。
映画のようなカーチェイスのような体験まで私はしてしまった。これは現実なのだろうかと何度も疑問が過るが答えはでない。
赤い月は遥か地平線へと姿を消し、朝日が昇る。その光は渋谷の街を淡く包んだ。こんな体験をした後の朝日は生きているという実感をさせるには、絶好の光だった。悪い悪夢は今のところ消え去ったと思う。
「朝日が奇麗ね。姉さん車の修理費は大丈夫なの……」
呉林が全身の力を抜いて言葉を放つ。
「ええ。それとローンもまだあるわ」
呉林姉妹の受難は続く……。
「銃ですか?」
私はダッシュボードを開けると、本当に一丁の小型拳銃があった。それは弾が6発の回転式拳銃だった。違法なものを目の当たりにしてしまった。
私は緊張した体を叱咤して銃を握る。
「赤羽さん。弾倉は三つしかないから気を付けて!」
霧画がスピードを上げて警告してきた。
後方の大勢のバイクが一斉に霧画の車に向かって迫ってくる。
「撃つぞ!」
私は助手席から外へと身を乗り出して、迫りくるフルフェイスに闇雲に撃ちまくった。(銃を撃つのは刑務所以来だ)何台もフルフェイスが倒れ地面に激突するが、相手はフルフェイスのヘルメットなので表情が見えない。弾丸が無くなったら素早くリロードをし、無我夢中で撃つ。
しかし、フルフェイスは多勢だった。
そのうちの一人が猛スピードの車を追い抜き、先頭で牽制をしてしまった。
これでは車が動けそうもない。
車の両脇にもフルフェイスたちが迫り斧やバットを一斉に振り下ろしに来た。
「きゃあ!」
後部座席の両方のガラスがハデに割れて、呉林と霧画が悲鳴を上げた。安浦が目を覚ます。
私は破れかぶれで一人を撃った。私側の一番近い奴だ。
四発も撃った。何とか一発が命中したようだ。フルフェイスは遥か後方へと転がりながら消えて行った。
発砲の轟音で車内の呉林たちが目を白黒させる。安浦は悲鳴を上げた。
もう一人、そいつは安浦側にいる奴だ。再度、斧を振り下ろそうとしているので、私は上半身だけ車の外へと出し、今度は2発打ち込む。
強風で狙いが定まらない。一発が奇跡的にフルフェイスの胸に命中してくれたようだ。フルフェイスはバイクから横倒れになり、アスファルトの地面に激突する。
両脇のフルフェイスはまだ大勢いるのだが、銃の弾を撃ち尽くしてしまった。
私は不思議な力を使おうと銃を車の中へと捨てた。周りを獲物に群がるピラニアのように囲んでいるフルフェイスたちに力を発し続けた。フルフェイスたちのヘルメットが首ごと吹っ飛び全身から血が吹き上がる。
いつしか、前方の車を牽制しているバイクだけになった。
そのフルフェイスは斧ではなくダイナマイトのようなものを片手に持っていた。私は冷や汗を流し不思議な力へと意識を集中して、前方のフルフェイスへと向けようとしたが、正面からくる風圧と猛スピードでの走行の中で狙いが定まらない。霧画が車のスピードを上げる。
すると、霧画が以外な行動をする。更にスピードを上げたのだ。
猛スピードの車体にガシャンという派手な音と衝撃が走る。前を走っているフルフェイスがどこかへと消えた。私はというと、車体に体を必死に固定させていた。ダイナマイトのようなものは遥か後方で大爆発をした。
「ひっどーい。車がおシャカになったわ」
自分でぶつけといて霧画はがっくりした。
「赤羽さん……」
呉林は何分も私の顔を見ていた。
映画のようなカーチェイスのような体験まで私はしてしまった。これは現実なのだろうかと何度も疑問が過るが答えはでない。
赤い月は遥か地平線へと姿を消し、朝日が昇る。その光は渋谷の街を淡く包んだ。こんな体験をした後の朝日は生きているという実感をさせるには、絶好の光だった。悪い悪夢は今のところ消え去ったと思う。
「朝日が奇麗ね。姉さん車の修理費は大丈夫なの……」
呉林が全身の力を抜いて言葉を放つ。
「ええ。それとローンもまだあるわ」
呉林姉妹の受難は続く……。