第48話
文字数 1,197文字
疲労を隠せなくなった安浦は、さっきの事をうまく呑み込めていないが、言葉では絶対に言えない不思議な空気の流れは感知したようだ。
「解らない。体も精神も、まるで俺じゃない別の人間が俺の中にいて、そいつが何か叫んでいるようなんだ。でも、やっぱり悪い感じはしない。それと……怪我がほとんど治ってきているみたいなんだ」
私はその時、安浦は何時間もあのナメクジから逃げ回っていたのだろうかと思った。
「でも、凄いわ。これで世界は救われるはずよ。未だに私でも信じ切れないけれど……。私……あなたが好きよ……」
「え?」
爽やかな風が吹いた。……心の中に。私はこの世界から抜け出せれば、きっと呉林とうまくいくとこの時……確心した。
「駄目―! 真理ちゃん! ご主人様はあたしと結婚するの!」
「それはどうかしら?」
二人は喧嘩しそうだったが、元々仲がとてもいいようで睨めっこをしただけだった。そういえば、安浦はいつも一人ぼっちだと言っていたが、それは過去の話で、呉林に会う前だったのだろう。
「あ、呉林。キラーって確か殺し屋のことだよな? 俺たちを殺すために誰かが雇ったのか?」
私は背筋が冷たくなるのを何とか我慢して、呉林の顔を見る。
「うーん。私たちは何度も夢の世界から生存しているから……。なのかな。ごめんなさい。今は何とも言えないわ」
呉林はそういうと、考えるため。私の視線を避けるように顔を鬱向かせて、ぶつぶつと独り言を言い出した。
「キラーって、あの巨大なナメクジ?あたしたちが誰かに狙われているとしたら……。どうしよう」
安浦はびしょびしょの服装で決して寒さからではない震えをした。
「キラーか……」
私は安浦の肩に手を置いて、自分の不思議な力で、キラーやその雇い主を何とか出来ればと切に思った。
無限の女子トイレを出て、洋服店から顔を出した頃には、空の巨大な赤い月は北の方へと沈みかけていた。
道路の目の辺りが暗い人々は決して、動いていなかった。何十人と私と渡部が叩きのめした人たちも、倒れたきり身動き一つしない。
「どう。七番目へと覚醒した?」
霧画は高級車の助手席を開けて呉林に尋ねる。
「ええ。凄かったわよ。本当に夢みたい。……でも、現実なのよね。いろんな意味で」
呉林はぶつぶつとした独り言を止めて、満面の笑みで霧画に強い眼差しを向けている。
「いいなー。私も見たかったわ。あ、でも怪我の治療が先ね。渡部くんは病院に運んだわ。次はあなたよ。わ、凄い。怪我が治っているようね。安浦さんも私の車で休んでね」
霧画は私たち三人に車に乗るよう手招きした。助手席に私、後部座席に霧画の後ろに呉林、私の後ろに安浦が乗った。霧画の甘い香水の匂いは心を落ち着かせる。まるで子供の時、甘い食べ物に優しく包まれている感じだ。安浦は極度の疲労のためにすぐに眠りについたようだ。
「解らない。体も精神も、まるで俺じゃない別の人間が俺の中にいて、そいつが何か叫んでいるようなんだ。でも、やっぱり悪い感じはしない。それと……怪我がほとんど治ってきているみたいなんだ」
私はその時、安浦は何時間もあのナメクジから逃げ回っていたのだろうかと思った。
「でも、凄いわ。これで世界は救われるはずよ。未だに私でも信じ切れないけれど……。私……あなたが好きよ……」
「え?」
爽やかな風が吹いた。……心の中に。私はこの世界から抜け出せれば、きっと呉林とうまくいくとこの時……確心した。
「駄目―! 真理ちゃん! ご主人様はあたしと結婚するの!」
「それはどうかしら?」
二人は喧嘩しそうだったが、元々仲がとてもいいようで睨めっこをしただけだった。そういえば、安浦はいつも一人ぼっちだと言っていたが、それは過去の話で、呉林に会う前だったのだろう。
「あ、呉林。キラーって確か殺し屋のことだよな? 俺たちを殺すために誰かが雇ったのか?」
私は背筋が冷たくなるのを何とか我慢して、呉林の顔を見る。
「うーん。私たちは何度も夢の世界から生存しているから……。なのかな。ごめんなさい。今は何とも言えないわ」
呉林はそういうと、考えるため。私の視線を避けるように顔を鬱向かせて、ぶつぶつと独り言を言い出した。
「キラーって、あの巨大なナメクジ?あたしたちが誰かに狙われているとしたら……。どうしよう」
安浦はびしょびしょの服装で決して寒さからではない震えをした。
「キラーか……」
私は安浦の肩に手を置いて、自分の不思議な力で、キラーやその雇い主を何とか出来ればと切に思った。
無限の女子トイレを出て、洋服店から顔を出した頃には、空の巨大な赤い月は北の方へと沈みかけていた。
道路の目の辺りが暗い人々は決して、動いていなかった。何十人と私と渡部が叩きのめした人たちも、倒れたきり身動き一つしない。
「どう。七番目へと覚醒した?」
霧画は高級車の助手席を開けて呉林に尋ねる。
「ええ。凄かったわよ。本当に夢みたい。……でも、現実なのよね。いろんな意味で」
呉林はぶつぶつとした独り言を止めて、満面の笑みで霧画に強い眼差しを向けている。
「いいなー。私も見たかったわ。あ、でも怪我の治療が先ね。渡部くんは病院に運んだわ。次はあなたよ。わ、凄い。怪我が治っているようね。安浦さんも私の車で休んでね」
霧画は私たち三人に車に乗るよう手招きした。助手席に私、後部座席に霧画の後ろに呉林、私の後ろに安浦が乗った。霧画の甘い香水の匂いは心を落ち着かせる。まるで子供の時、甘い食べ物に優しく包まれている感じだ。安浦は極度の疲労のためにすぐに眠りについたようだ。