第10話
文字数 1,322文字
と、私は顔に落胆の色をだす。
「そうね。ここのオリジナルコーヒーを何らかで調べれば、何か解るかと思ったんだけど。どうしよう……」
呉林も見るからに落胆した顔をしていた。恐らく呪いか何かで調べるのだろう。
「定休日じゃないの?」
安浦は不安そうに言った。しかし、店先の看板には定休日は水曜日になっているし、今日は火曜日だった。
「あ、これを見て」
呉林が店の窓を指差した。そこには、
{まことに御勝手ながら一週間ほど海外でコーヒー豆を採取してきます。 店主}
と書かれた張り紙が付けてある。
「どうやら、来週じゃなければ駄目みたいだね。仕事休まなければよかったよ」
私は愚痴り。谷川さんや中村と上村に悪いことをしたと悔やんだ。けれど、これから何が起きるのかと思うと、仕事どころではない。
呉林も神妙な顔で、
「でも、昨日のようなことがまた起きるはずよ。これからの一週間で何が起きるかわからないけれど」
「ねえ、ほんとにここのコーヒーが原因なのよね」
事情を強引に呉林が話したような。安浦は少し不安な声色をして私に問う。
「恐らく、不思議なことで頭が変になるけれど、ここのコーヒー以外に共通点がないはずだし。何かの薬でも入れられたかな?」
私も少し不安な声色になっているのかもしれない。私は信じられそうもない非日常に直面していて、かなり混乱しそうだった。
これからどうしよう……。
「あたし、怖くてしょうがないわ。でも、来週になれば、あの電車の出来事が治るのかしら。あたし、気持ち悪いから一週間くらい電車に乗らないようにしようっと」
震える安浦は単純に、昨日の普通列車での体験だけが、また起きると考えているようだ。
私と呉林は目を合わせる。呉林は無理に明るい表情を作り、私にウィンクをした。
「あのね、恵ちゃん。そうじゃなくて……」
呉林が友人の肩に手を置いて、優しく何か言おうとしたが、
「こんな緊急時だし、みんなの携帯電話番号を教え合おうよ。あのようなことが起きたらすぐ連絡し合うために。別にやましい気持ちなんて無いからさ」
ちょっとはあるが……。
訂正。もうちょっとある……。
呉林は頷いた。
「賛成よ」
安浦も賛成した。
私はどうしようもない不安の中、この二人がいる。とても感謝していた。それは呉林と安浦も同じ気持ちだと思える。
もし、私一人であの体験をしたとしたら……ちょっと想像が出来ない。恐らく、とてつもない恐怖と混乱の真っ只中、毛布の中などで途方に暮れていただろう。助かったかどうかもわからない。
そして、これから起きることはきっと、不可解で恐ろしい体験。そんなことが何度か起きるのだろうか? 呉林は何が起きるのか知っているのだろうか?
そんな疑問が私の中で渦巻いた。私たちは、晴れない顔で携帯の電話番号を教えあった。それにしてもこんな時だが役得なのかも知れない。奥手の私は緊急な体験をした時の緊
張感で、これほど積極的に女性と話せることが出来た。
「この一週間で何が起きてもおかしくないわ。みんな気を付けてね。それと赤羽さん。絶対、変な事では電話をしないでね」
最後に呉林が釘を刺した。
「そうね。ここのオリジナルコーヒーを何らかで調べれば、何か解るかと思ったんだけど。どうしよう……」
呉林も見るからに落胆した顔をしていた。恐らく呪いか何かで調べるのだろう。
「定休日じゃないの?」
安浦は不安そうに言った。しかし、店先の看板には定休日は水曜日になっているし、今日は火曜日だった。
「あ、これを見て」
呉林が店の窓を指差した。そこには、
{まことに御勝手ながら一週間ほど海外でコーヒー豆を採取してきます。 店主}
と書かれた張り紙が付けてある。
「どうやら、来週じゃなければ駄目みたいだね。仕事休まなければよかったよ」
私は愚痴り。谷川さんや中村と上村に悪いことをしたと悔やんだ。けれど、これから何が起きるのかと思うと、仕事どころではない。
呉林も神妙な顔で、
「でも、昨日のようなことがまた起きるはずよ。これからの一週間で何が起きるかわからないけれど」
「ねえ、ほんとにここのコーヒーが原因なのよね」
事情を強引に呉林が話したような。安浦は少し不安な声色をして私に問う。
「恐らく、不思議なことで頭が変になるけれど、ここのコーヒー以外に共通点がないはずだし。何かの薬でも入れられたかな?」
私も少し不安な声色になっているのかもしれない。私は信じられそうもない非日常に直面していて、かなり混乱しそうだった。
これからどうしよう……。
「あたし、怖くてしょうがないわ。でも、来週になれば、あの電車の出来事が治るのかしら。あたし、気持ち悪いから一週間くらい電車に乗らないようにしようっと」
震える安浦は単純に、昨日の普通列車での体験だけが、また起きると考えているようだ。
私と呉林は目を合わせる。呉林は無理に明るい表情を作り、私にウィンクをした。
「あのね、恵ちゃん。そうじゃなくて……」
呉林が友人の肩に手を置いて、優しく何か言おうとしたが、
「こんな緊急時だし、みんなの携帯電話番号を教え合おうよ。あのようなことが起きたらすぐ連絡し合うために。別にやましい気持ちなんて無いからさ」
ちょっとはあるが……。
訂正。もうちょっとある……。
呉林は頷いた。
「賛成よ」
安浦も賛成した。
私はどうしようもない不安の中、この二人がいる。とても感謝していた。それは呉林と安浦も同じ気持ちだと思える。
もし、私一人であの体験をしたとしたら……ちょっと想像が出来ない。恐らく、とてつもない恐怖と混乱の真っ只中、毛布の中などで途方に暮れていただろう。助かったかどうかもわからない。
そして、これから起きることはきっと、不可解で恐ろしい体験。そんなことが何度か起きるのだろうか? 呉林は何が起きるのか知っているのだろうか?
そんな疑問が私の中で渦巻いた。私たちは、晴れない顔で携帯の電話番号を教えあった。それにしてもこんな時だが役得なのかも知れない。奥手の私は緊急な体験をした時の緊
張感で、これほど積極的に女性と話せることが出来た。
「この一週間で何が起きてもおかしくないわ。みんな気を付けてね。それと赤羽さん。絶対、変な事では電話をしないでね」
最後に呉林が釘を刺した。