第9話 吾亦紅―吾も恋う R-18

文字数 7,291文字

  秋の夕暮れは釣瓶落としと言われるように、つい先ほどまで西の空に赤い名残り陽がのぞいていたのに、もう入れ替わりに東の空から月が姿を見せている。
撫子を両手に抱いた十兵衛は、秋草の姿を映す月影を踏んでゆく。
柔らかく白い腕を十兵衛の首に巻きつけて、肩に顔を埋める撫子は、自分に触れる十兵衛の手のひらの熱を、今までとは違って感じる事に少し戸惑いをおぼえていた。
さっきの十兵衛の『おれの女』という言葉と、重ねた唇の熱さを思い出すと、身体の芯がジンとムズがゆくなるのを感じる。
 
 そうしているうちに、河原家が見えてくると、家人や使用人達が所在なさげに表を入れ替わり立ち替わりしていたが、やがて すずが二人に気が付いて駆け寄った。
「撫子、ああ、撫子!」
家内に入り十兵衛が撫子を降ろすと、次は すずが幼子にするように、撫子を抱き締め涙を流し、
「無事で良かった…。母は、悪い母でした。許しておくれ」
あの気丈な撫子も泣いていた。
「お母様に、酷いことを言いました。悪い娘でごめんなさい。…怖かった」
二人がひしと抱き合う姿を見て皆が もらい泣きする中、市朗は十兵衛に何やら険しい顔で耳打ちする。
十兵衛もまた厳しい顔でうなずき、二人で奥へ退く。
そこへ ばあやが二人にも、
「さあさ、お嬢様。お腹が空きましたでしょう。お膳にしましょう。さ、ご内儀様も」
と言い、奥へ促した。
 
  ばあやが撫子に夕餉をとらせているあいだに、別の間では十兵衛・市朗・すずで撫子拐かしの顛末について話し合いが持たれている。
相手が相手だけにこれで円く収まるとも思われず、市朗はこれから年寄り連中を集めて会所へ行くという。
その前に、と、それまで安座して愛刀を自分に立て掛けていた十兵衛が、愛刀を脇に置き、スっと端座して手を仕えた。
「兄や、姉や、いや、御岳父様(ちちうえさま)御丈母様(ははうえさま)にお願い致したき儀がございます」
父、母、と呼ばれた事で察し、二人もまた居ずまいを正して聞くと、十兵衛は撫子の気持ちを確かめた事と、この後の事についての話をした。
「それは良うございました。なにぶん急な事で万事滞りなく、とはゆきませぬまでも、できうる限り調えさせていただきます」
「よろしく、お願い申し仕まつります」
三人はお互いの立場が変わり、慣れぬやり取りに顔を見合わせて照れ笑いし、それぞれ座敷を出た。

  しばらく(のち)離れに戻った十兵衛は、まず湯を使い自分の身支度を整えた。
これから臨む事は、四十路に足を踏み込んだ十兵衛にも、生まれて初めての事で、普段の様子からは考えられないが、いささか緊張の色がみられる。
  ―「初めて上様にお目通りした時も、こんな気持ちだったかのう」―
ふ、ふ、と笑いながら、板戸も明かり障子も開け放った書院から、十六夜の満月を見上げた。
しばらくすると、撫子が ばあやに付き添われて風呂場に入って行ったような声が聞こえ、ばあやは撫子に、用意した寝間着を着るように言い置いて母屋へ戻っていったようだった。
 
あんな事があったので、気分を落ち着かせるために、少し長湯をした撫子が脱衣場へ上がっていくと、体を拭く為の湯帷子の他は、自分の物ではない真っ白な寝間着が一枚だけ、湯文字も置いていなかった。
  ―「ばあやは、まだ耄碌するような お歳ではないのに…」―
と、いぶかりながらも、他に着るものもないので、白い寝間着をまとって十兵衛に就寝の挨拶に行った。
いつもの板の間の隣の座敷への唐紙を開けると、十兵衛はおらず夜具も延べておらず、
「十兵衛様?」
と呼ばわると、十兵衛はいつもより改まった口調で答えた。
「撫子どの、奥の書院へ参られよ」
何事かと思いながらも、書院の唐紙を開けた撫子は驚きで声が出ず、その場で固まってしまった。
書院には、あの、虫干しした両親の祝言の夜具が東枕で延べられ、枕元には盆の上に雌雄の戌筥と吉野紙と共に、柳生家の元々の家紋に描かれている吾亦紅(われもこう)が生けられてあり、つがいのセキレイの絵が描かれた金屏風が建てられ、乱箱には何枚もの湯帷子や湯文字に手拭いが用意されている。
十兵衛は夜具の横に、こちらも白い寝間着一枚だけの姿で端座し、
「撫子どの、そちらへ」
低く静かな、でもよく通る声で、夜具を挟んで対面に座るよう促された。
撫子も端座し、十兵衛を見ると、彼は見た事のない表情で優しく微笑んでいる。
「盃事もせず、このような振る舞いに及ぶ無礼をお許し下され。すでに御岳父様、御丈母様には御挨拶を済ませ、お許しをいただいております。あとは、あなた様の お心次第でござる。今宵、それがしと初枕を交わし、それがしの妻になっては いただけますまいか?」
そう言うと十兵衛は、撫子に手を差し伸べた。
撫子は息を飲んだ。
このような十兵衛を見るのは、初めてだったのだ。
しかし撫子は、下を向いてかぶりを振った。
十兵衛は、半分残念そうな、半分安堵したような顔で、差し伸べた手を引き膝を叩いて笑った。
「そうであろうな。こんな片目の四十路のオヤジに、いざ このような場を設けられては、目も覚めよう。明日からまた、おれは おまえの兄でおっても良いか?それとも、もう二度と会いとうないか?」
撫子はまたかぶりを振ると、夜具の上に膝を進め、十兵衛のすぐ目の前にいざり寄った。
「なっ…!」
すぐ目の前には薄い寝間着一枚だけの、撫子の豊かな乳房。
今、床入りを断られたばかりなのに、そんなものを見せつけられて、何も思わぬほど十兵衛は枯れていない。
「よさぬか、撫子。おまえはおれを何だと思うておる…」
隻眼を逸らす十兵衛の手を取って、撫子は愛おしげに自分の頬に当てた。
「十兵衛様、撫子は幼き頃より、あなた様、唯お一人を、お慕いしてまいりました」
「わかっておる。わかっておるから離してくれ」
そう言いながらも、十兵衛は撫子の手を振りほどけないでいる。
「撫子も、もう大人でござります。あの頃とは違い、十兵衛様に奥方様や御子様がいらっしゃる事も、身分が違う事も、もう知っております。」
撫子は、白珠(しらたま)のような涙をポロポロとこぼして十兵衛を見た。
「あなた様のお嫁に などという、子供っぽい望みが叶わぬ事は、ちゃんと分かっているのでござります。でももし、馬鹿な私を憐れと思し召しならば、婢女(はしため)としてでも、召人(めしうど)としてでも、どうか お側に置いて下さりませ」
十兵衛は隻眼を瞠って撫子を見つめ返した。
自分のような男を、それほどまでに思って涙をこぼす姿が、あまりに可憐でいじらしく、胸の真ん中に甘く鈍い痛みが走る。
「本当に馬鹿な娘だ。おれが妻だと言うたら妻なのだ」
十兵衛は撫子を抱き寄せ、唇をかさねた。
お互いの唇が、溶け合ってしまいそうなくらい、熱い。
慣れない撫子は、息苦しそうに何度も口を離すが、十兵衛はその度に口をふさいで舌を差し入れる。
撫子が十兵衛の舌を優しく吸う事を覚えたところで一旦唇を離すと、 名残惜しそうに撫子の唇が すぼまって、ちゅっ、と音をたてて糸を引いた。
ハァ、ハァ、と呼吸荒く胸を上下させる撫子を夜具に横たえて帯を解き、寝間着の前を開いて全てを あらわにする。
昼間のように明るい月の光に照らされた撫子は、艶かしい真紅の夜具の上で、青白磁の人形ような風情の肌をさらしていた。
「美しいな…」
十兵衛は撫子の頬を両手で挟み、そのままスルスルと首筋、肩、乳房へ手を滑らせていく。
柔らかいが張りのある乳房は横流れすることもなく、伏せた鉢のような膨らみをたたえて、少しツンとなった乳首が呼吸のたびに誘うように揺れる。
すくい上げるようにして揉むと、
「んっ」
と小さな声をあげて身じろぎする。
「可愛ゆらしいのう」
十兵衛は蕩けるような表情で撫子の姿を見ていた。
「十兵衛様、戸を、せめて障子を引いて下さりませ」
「なぜだ?」
「恥ずかしゅうござります」
そう言いながら、撫子は先ほどまでの青白磁の冷たい肌と うってかわり、鮮やかな朱鷺色へと変化していく。
「おれとおまえの二人だけではないか。向こうはガケ、誰も見てはおらんよ」
撫子は目を伏せ、イヤイヤをするようにかぶりを振る。
「月が…見ております」
それを聞いた十兵衛は、全身の血が沸騰するような衝動をおぼえた。
「それはいい。見せつけてやろうよ」
そう言うと、撫子の梅桃(ゆすらうめ)のような乳首を口に含んだ。
初めての刺激に、撫子の体が弓なりになる。
もう片方の乳首も、掌で捏ねるようにいじると、こらえる事すら出来ずに声が漏れだす。
「あ やぁ、ぁ…あ、ひっ、んん」
()いのか?」
「わかりませぬ…」
「嫌ならやめるからな。我慢するなよ」
「いや…」
「やっぱりそうか。まあ、ゆっくり時間をかけて慣れていけばいいだろう」
「そうではござりませぬ、あの、……やめては いや、いや… 」
うわ言のような撫子の声を聞きながら、十兵衛は、自分の摩羅が にわかに そそり勃つのが分かった。
「撫子、おれはずうっと こうしたかったんだ。昼、おまえに触れずに風呂から上がるのが、どんなに大変だったか…」
十兵衛は撫子の乳房へ舌を這わせ、なおも乳首を指でピンと弾きながら、撫子の手を自分の摩羅に導いた。
「は…、熱い」
撫子の手に自分の手を添えて摩羅をなで(さす)らせながら、十兵衛は撫子の耳を甘噛みしてささやく。
「風呂で、見ていたのだろう?分かっていたであろう?おれが、おまえと、こうしたいと思っていたのを。知ってて知らないふりをしたのだろう?」
十兵衛は手を離したが、撫子はそのまま十兵衛の摩羅を擦り続けている。
「十兵衛様だって、知ってたくせにぃ。撫子が、十兵衛様と、こうしたいと思ってたこと、知ってて、いじわる なさってたのでしょう…」
「ああ、知っておったさ。可愛いやつめ」
十兵衛は撫子の両の乳房を揉みしだきながら、乳首を優しくひねると、再び口を吸い始めた。
ぴちゃぴちゃと互いの舌を絡め吸いあう音が、静かな書院の中に響く。
撫子は十兵衛が乳首をいじると、ほと がキュンとなるのを感じていた。
太ももを擦り合わせながら、ジンジンする乳首と ほと に、頭がボーッとなってくる。
十兵衛は唇を離し、摩羅を擦らせていた撫子の手を取ると、そこには十兵衛の先走りの蜜がヌラヌラと溜まっていた。
十兵衛はそれを、撫子に舐めさせた。
ぴちゃぴちゃと音を立てて指を舐める撫子の表情は恍惚として見える。
「おれにも、おまえの蜜を味あわせてくれ」
十兵衛は撫子のヘソを くすぐるように舐め、そのまま舌を女割れのほうへと這わせていくと、
「撫子よ、毛はどうしたのだ?」
なんと、撫子の ほとは、子供のようにスベスベとして、あるはずの毛が無かったのだった。
「ちゃんと ありまするよ。ほら…」
見ると、女割れの始まり、さね の上の内側に、少し長めの産毛が ぽやぽや と生えていた。
「変…に、ござりまするか?十兵衛様は、こういうのは、お(いや)?以前より、母も ばあやも嫁入り道具が揃わないと、心配しておりました…」
恥ずかしそうに目を伏せる撫子に十兵衛は、
「んふっ、大人の ほと にこういうのは初めて見たが、良いものだのう。可愛ゆらしい。もっとちゃんと見せよ」
と言うと、撫子の女割れに口づけた。
「ん、くすぐったい…あ、やぁ…んっ」
羽二重餅を二つ重ねたような、ぷっくりとした土手に、まだ誰にも開かれた事のない一本のスジが初々しい。
そのスジに舌を這わせると、小さな さね が恥ずかしげに(きぬ)(かつ)いだ下で、コリコリと しこっているのがわかる。
十兵衛は左手で乳首を玩びながら、右手の親指で ほと口 を優しく揉みほぐすように愛撫しながら、さね に舌を絡めて吸った。
初めての身体には強過ぎる刺激に、撫子は逃れようと もがくが、十兵衛は逃がさない。
「あ、ああ、嫌っ!嫌ですぅ、あ、助けて、嫌あぁぁ」
撫子は、自分の目の中に星が瞬くのを見たと思った直後、頭の中が真っ白になった。
直後、腰から首筋に向かってビリビリと痺れが走る感覚と、下腹の中に激しい快感をおぼえて うつつに引き戻され、十兵衛から これが『気をやる』というものだと教えられた。
ほと と ほと口 が何度も痙攣し、絶頂の余韻を感じさせる。
「撫子、淫蜜がこぼれてきたぞ」
ほとがピクン、ピクンと痙攣するたびに、ほと口 からは、トロリとした蜜がこぼれる。
その ほと口 に舌を差し入れると、口吸いをするように、ほと口 は十兵衛の舌をキュッと吸い、甘酸っぱい蜜を滴らせる。
十兵衛は痙攣が収まってきたのを見計らって、舌を抜くと、今度はゆっくりと ほと口 に中指を挿入した。
「は、あ、ぁ、…ハァ」
撫子は大きく息を吐く。
「痛くないか?」
「大丈夫でござります。あ、はぁ、んっ。窮屈でちょっと苦し…?でもっ、あ、いいっ」
撫子の ほと の中は狭い上にヒダが吸い付くように絡み、十兵衛は自分の摩羅を入れたらどうなるのかを想像してゾクゾクしている。
痺れるほどに締め付けてくる ほとの中をまさぐっていた指を抜くと、先ほどまでの透明なのとは違う、甘酒のような白い淫水が絡み付いている。
味もトロリと甘いそれを舐め取りながら、
「そろそろ頃合いか?」
と、覚えたての快楽に(とろ)けている撫子の ほと口に、十兵衛は自分の摩羅をあてがうと、ちゅくっ、と湿った音に背筋が震える。
狭い ほと口に、カリ高な十兵衛の亀頭は、グっと引っ掛かる抵抗感があり、撫子の様子をうかがうと眉間にシワを寄せ、フウ、フウ、と、苦しげに吐息をつくのが見て取れる。
「まだ無理か…」
と、十兵衛が腰を引こうとすると、撫子の脚が十兵衛の腰に絡み付いてきた。
「やめては嫌でござりますぅ…中、もっと奥がぁ、きゅんってぇ」
切なげに漏らす撫子は、十兵衛の手を自分の乳房へ導き、自分から唇を重ねる。
十兵衛は再び、自分の摩羅を撫子の ほと口 にあてがい、網代本手のような格好で、ゆっくりと腰を沈めた。
「は、あ、十兵衛様…んっ」
身長六尺豊かの十兵衛からすると、五尺にも満たない撫子は全てが小さく見えて、痛い思いをさせるのではないか、苦しくはないのかと、心配になるのも無理はない。
しかし、撫子の雌の本能は、十兵衛を自分が番う相手(オス)だと定めている。
発情した雌が自分の雄を迎え入れるのに、痛かろうが苦しかろうが、何の躊躇いもない。
ゆっくりと、十兵衛の体格相応の逸物は、狭い撫子の ほと に分け入って行く。
無意識に撫子の体が逃げようとするが、十兵衛は腰を捕まえて根元まで突き入れた。
「はぁ、十兵衛様、奥まで、届いて…あ、いい」
「ん、おれも悦い…悦すぎて、これは保たないな」
十兵衛はゆさゆさと腰を動かして、動きやすいように撫子の ほとを弛めようとするが、ますます締まるような気すらある。
「痛くはないか?動いても、大丈夫そうか?」
「はい…やけどのように、熱くて、ヒリヒリ、いたします。でも、それが、いいきもちなの…もっと、してぇ…」
切なげな懇願に応えて、十兵衛はゆっくりと腰を遣い始めた。
摩羅をズルリとカリ首まで引き抜くと、カリ高な段差が ほと口 に引っ掛かってめくれそうに締め付けられる。
それを我慢し、鈴口まで引き抜いて、また根元まで突き入れた。
絡み付く撫子の ほと のヒダは、十兵衛の摩羅の方がヒリつくほどに吸い付いてきて、愛撫するように蠢いている。
「十兵衛様、淫らな娘で、ごめんなさい…撫子のこと、お嫌いにならないで…」
羞恥の涙をにじませて、十兵衛の腰を逃がすまいと脚を絡みつけてくる姿に、生娘に対する心遣いも忘れ、十兵衛は夢中で激しく腰を打ち付けた。
「は、ああぁ、やぁ、また、お星が、見えますぅ…十兵衛さま、あ、あ、」
その声を聞いて、十兵衛は さねの衣被ぎの上から親指を優しく添えた。
十兵衛の腰の動きにあわせて玩ばれる さねの刺激に、撫子はまた気をやった。
ほと も ほと口 も、十兵衛の摩羅を噛み締めるように痙攣し、キュウキュウと締め付けてくる。
これには十兵衛も堪えきれず、
「撫子、おれも、いく、あ、くうぅ…っ!」
と、うわ言のようにいうと、撫子の腰を引き寄せ、唇を重ねると、撫子の ほとの奥の こつぼ に亀頭をグイグイと押し付けるように、十兵衛は精を放った。
撫子は放心したように、それでも十兵衛の腰に絡めた脚はそのままで、愛おしげに厚い胸板に頬ずりして甘えている。
十兵衛はしばらく摩羅を抜かずに、ゆるゆると腰を動かしたり、撫子の乳房を触ったりしていたが、やがて吉野紙を二人の繋ぎ目にあてがうと、摩羅を引き抜いた。
「あ…」
撫子が名残惜しそうに眉を寄せるのを見て、自分も同じ気持ちであるのに気がついた。
しかし、やらねばならない事がある。
十兵衛は丁寧に撫子の ほとを吉野紙で拭うと、自分の精汁と撫子の淫蜜が混ざりあった物が桃色に染まっているのを確かめ、その紙を戌筥に納めると、裸のまま広縁へと出た。
「ご満足されましたかな?」
と、付書院の向こう側にいつから居たものか、すず・ばあや・市朗に声を掛け、戌筥を渡した。
三人は、
「万事滞りなく、無事に お済みのようで、よろしゅうございました」
と言って、戌筥を持って母屋へ戻っていった。
「じゅ、十兵衛様、今のは…え?見られて?」
撫子は驚いてオロオロしていたが、
「おれも祝言など挙げた事が無いので、初めてなのだが、こういうものだと先刻教えられたとおりにやったまでよ」
十兵衛は夜具に戻り、
「さて、邪魔者もいなくなったぞ。夜はまだ長い。ゆっくり睦み合おう」
と言うと、撫子を抱き寄せた。
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登場人物紹介

柳生十兵衛三巌

主人公

剣豪として知られる柳生家当主で少し助平なイケおじ


河原 撫子

ヒロイン

美人で爆乳で淫らな十兵衛の嫁

柳生但馬守宗矩

故人

主人公・十兵衛の父

助平ジジイ

河原 市朗

ヒロイン・撫子の父

幼少の頃の十兵衛の傅役だった

イケオジィ

河原 すず

ヒロイン・撫子の母

若い頃、十兵衛の母・おりんの方様の侍女だった

ばあや

撫子のばあや

撫子が生まれる前は、すずの侍女だった

徳川家光

三代将軍


お藤

宗矩の側室

六丸の母

柳生 六丸

十兵衛の末弟

宗矩と お藤の子


お蔦

茶店の娘

撫子の幼なじみ


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