第14話 雨冷える夜に  R-18

文字数 3,806文字

 離れに戻り、十兵衛は抱きかかえていた撫子を、優しく書院の夜具の上に横たえた。
「大丈夫か?」
目まいがすると言っていた撫子に、気遣わしげに声をかける。
撫子は、十兵衛の首に手を回したまま、
「十兵衛様、申し訳ござりませぬ。目まいは、嘘にござります…」
「なに!?」
「抱っこしていただきたくて」
と、甘えた声で続ける。
「ならば、そう言えばよかったではないか。心配したのだぞ」
「だって、お藤様と六丸どのがおられたでは ありませぬか。『抱っこして』だなどと、子供のようで恥ずかしうござります」
「そういうものか」
日頃、諧謔ばかりとばしている十兵衛は、あまり気にしないようである。
「それに、早く二人きりになって、昼間の、続きを…」
湯上がりで まだ火照っているのか、撫子は眼の回りに紅を掃いたように血がのぼり、泣いた後のような色香がただよう。
その姿に、十兵衛の背筋はゾクゾクと震えた。
十兵衛は撫子の衿元から手をすべりこませ、乳房をスルスルと なでさする。
揉まず、乳首にも触れず、じらすようにすべる十兵衛の手のひらの心地好さに、撫子が思わず ハァ…と、吐息をもらし、その唇に、十兵衛の唇が重なろうとした、その時―

「十兵衛様、お嬢様、夕餉の お仕度がととのいましてございます」

開いた唐紙から、手をつかえる ばあや と、笑いを噛み殺す登美の姿がみえた。
「腹が減っては何とやら、でございます。続きは夕餉の後で、ご存分に」
これには十兵衛も、苦笑いするほかなかった。


  夕餉が済み、ばあや と登美が離れを退出したあとも、撫子は唐紙を開けて、きょろきょろと書院の外を見回していた。
「これ、撫子。こっちや来い」
夜具の上で煙管をくわえた十兵衛が、く、く、と笑いながら撫子を呼ぶと、撫子は唐紙を閉じ、唇を尖らせて十兵衛の胸の中に入って来た。
十兵衛は煙管を煙草盆に戻すと、撫子を抱き寄せ、その髪や背、尻をなでまわしながら、
「ま、気持ちはわからんでもないが」
と、隻眼を細めて撫子の顔をのぞきこんだ。
昼と先程、二度にわたり邪魔がはいっており、二度あることは~と、警戒しているのである。
「落ち着きませぬ…」
「そのような気を回す余裕も無いぐらい、おまえを夢中にさせてやれば、よいのだな?」
そう言うと十兵衛は、撫子の唇を吸った。
互いの舌を絡めあう ねばついた水音が雨音と交わり、静かな書院に響く。
少しずつ撫子の呼吸が乱れ、ふぅ、ふぅ、と甘い吐息が漏れはじめる。
「十兵衛様は、煙草の香りがいたします」
「嫌かえ?」
「いいえ、幼い頃から大好きな、十兵衛様の香りでござります。もっと…」
今度は撫子の方から、十兵衛の唇を吸う。
十兵衛が撫子を さらにきつく抱き寄せ、腰をぐりぐりと押し付けると、撫子は、自分の太ももに寝間着越しにも熱く、硬いものが当たるのを感じ、強く淫心をもよおしてきた。
撫子は腕を伸ばして、十兵衛の下帯の前袋に手を差し込み、窮屈そうに前袋を押していた摩羅を脇から出し、愛おしげになでさすると、鈴口が とぷっと先走りの蜜を吐きだして、撫子の指を濡らした。
十兵衛は思わず唇を離し、深く息を吐く。
すると撫子は、十兵衛の腰の脇に移って ちょこんと座り、
「こちらの 可愛いらしい お口とも、口吸いを させてくださりませ…」
と言って、まだ慣れないせいか、ぎこちなく十兵衛の摩羅の鈴口に口づけをし、優しく舌先を 差し入れた。
「ふっ」
十兵衛の腰が少しはねる。
「撫子よ、おれにも おまえの 下の口と口吸いさせよ」
ヒョイと撫子の足を抱えると、十兵衛は自分の胸を跨がせた。
ほの明るい雪洞の灯りに、撫子の毛の無い玉門のスジから にじみ出た淫蜜が、ぬらりと光って見える。
十兵衛は身体を少しばかり起こして、自分よりずっと背の小さな撫子の女割れに届くようにして、舌を這わせた。
ぴっちり閉じたスジの中は、甘酸っぱい淫蜜で満たされ、十兵衛はそれを、舌ですくうようにして啜る。
「あっ、んんっ…ふうぅ」
十兵衛の摩羅をくわえたまま、撫子がくぐもった声をもらす。
撫子はもはや、唐紙の向こうの事など心に無い。
そこに薄く開けた隙間から、二人の房事を覗いている者がいようなどと…。


  薄く開けた唐紙の隙間から、雪洞の灯りに照らされた撫子が、小さな口で長く太い十兵衛の摩羅をくわえこみ、舌でチロチロと舐め上げ、白魚のような手で擦りくすぐりしているのが正面に見える。
相舐めをしているらしく、十兵衛の頭の方にある寝間着姿のままの尻が、時おり跳ねたり揺れたりするたびに、撫子が淫らな嬌声を上げるのが聞こえた。
それを覗き見る六丸は、己れの まだ幼さの残る摩羅を、夢中でしごいている。
「あ、十兵衛様、らめぇ…ん、はあぁ、あ、あ、んっ!吸っれはひやぁ…」
撫子が、十兵衛の摩羅を頬ずりし、尻を跳ね上げると、ひときわ高く鋭い声を上げた。
「ひ、ああぁ、いく、んっ!い、く…」
その声を聞きながら六丸も射精したが、目の前の撫子がガクガクと身体を震わせ、目に涙を溜めながら、なおも十兵衛の摩羅に舌を絡める姿を見てしまうと、それが若さというものか、ふたたび六丸の摩羅は腹を叩かんばかりに屹立した。
「撫子、気をやったな?おれの舌が痛いぐらい締め付けよって」
十兵衛は声をかけると、撫子の身体をくるりと返して、そのまま時雨茶臼の体位で撫子の ほとへと摩羅を突き入れた。
「!!っっふうぅ、ぅん…」
気をやったばかりの撫子の ほとの中は、逆立ったひだで狭くなり、痙攣しながら中と ほと口が別々に締め付けてくる上、こつぼ口も降りてきて十兵衛の亀頭をくわえこむ。
「やっ、ああ、十兵衛様、動かないでぇ…」
十兵衛が下から腰をゆるゆると突き上げながら、寝間着の衿をくつろげて乳房を揉みながら乳首をコリコリとひねると、撫子は可愛いらしい鳴き声をあげた。
「悦いのだろう?恥ずかしがらずともよいぞ。もっと動けと言うてはどうだ?ん?」
自分が気をやりそうなのを こらえて、十兵衛は少しばかりいじめるように聞く。
寝間着を着たままで後ろ姿の撫子の裸身は、六丸からは全く見えなかったが、ついこの間筆下ろしをしたばかりの少年には、それでも十分刺激的な光景であった。
六丸は また強く摩羅をしごき始めた。
まだ痙攣の おさまらない撫子に、それまでゆるゆると動いていた十兵衛は、いきなり激しく腰を打ち付けた。
「やあっ!あ!」
撫子は悲鳴にも似た声を上げる。
目の前に星がチカチカするような快感におそわれ、思わず逃げそうになる撫子の腰を、十兵衛は押さえつけて、更に激しく腰を打ち付け続けた。
「撫子、またいきそうなんだろう?いけよ。いっていいぞ」
「んんっ、あ、十兵衛さまぁ、いくぅ、ああぁ、はあぁ…!」
気をやった撫子は、十兵衛の胸に倒れこんだ。
まだまだ十兵衛の摩羅を離したくない撫子の ほとは、きゅんきゅんと強く弱く痙攣を繰り返し、十兵衛に えもいわれぬ淫靡な快楽と恍惚感を与えてくる。
「十兵衛さまぁ、おほとが、おほとのおくがぁ…じんじんするの。撫子は、おかしくなりそうで、ござりますぅ…」
息も切れ切れに、涙をこぼしながら、十兵衛の胸に おでこを こすりつけてくる撫子は、とても淫らで、とても愛らしかった。
十兵衛は身体を返して撫子を下にし、撫子が好きな網代本手に体位を組み変える。
「撫子、おまえという女は…こんなにも淫らがましく可愛ゆらしい。おれの方が、おかしくなりそうだ」
二人は口を吸いあいながら、激しく腰を絡めあった。
くちゅ、くちゅっ という淫気に湿った音と、腰を打ち付ける音と、荒い息が書院を満たして溢れそうになった頃、
「あ、十兵衛さま、お星さまと虹が、見えま、すぅ…んっ…あ、また、あ、いく、いく…いく…」
と、撫子がうわごとのように言うと、身体を弓なりにそらせてイヤイヤをするように かぶりを振り、十兵衛の腰に足を絡めてギュッと抱きついてきた。
それを聞いて十兵衛も、摩羅が抜ける寸前まで腰を引いて根元まで突き入れた上、更にグイッと押し付けるように動いた。
また気をやった撫子の ほとが、十兵衛の摩羅を噛み締めるようになぶり、吐精を促す。
締め付け絡み付く撫子の襞を振り切るように十兵衛は強く亀頭を こつぼ口に打ち付けて、何度も精汁を放つと、撫子は、
「十兵衛さま…」
と、愛おしそうに十兵衛の名を呼び、そのまま気を失った。

唐紙の向こうの六丸も、撫子の声を聞きながら、また射精していた。
 ―「撫子おねいさま、私も、いつか、おねいさまを…」―
ふぐりが空っぽになるぐらい大量に精液を排出して放心していたところに、不意に唐紙が開いた。
六丸がギョっとして見上げると、寝間着の前も はだけたままの十兵衛が吉野紙と手拭いを手に立っている。
「きれいに後始末をして、さっさと去ね。撫子に殺されても知らんぞ」
と言うと、六丸にそれを渡して唐紙を閉めた。
六丸は慌てて自分の摩羅と周りにこぼれた精液を拭き取ると、破裂しそうな心臓を抑えて離れを逃げ出した。

十兵衛は、煙草をくゆらせながら頭を抱えている。
「どいつもこいつも…」
眠る撫子の頬をなでながら、確かに三度目があったわい、と、苦笑いした。
 
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登場人物紹介

柳生十兵衛三巌

主人公

剣豪として知られる柳生家当主で少し助平なイケおじ


河原 撫子

ヒロイン

美人で爆乳で淫らな十兵衛の嫁

柳生但馬守宗矩

故人

主人公・十兵衛の父

助平ジジイ

河原 市朗

ヒロイン・撫子の父

幼少の頃の十兵衛の傅役だった

イケオジィ

河原 すず

ヒロイン・撫子の母

若い頃、十兵衛の母・おりんの方様の侍女だった

ばあや

撫子のばあや

撫子が生まれる前は、すずの侍女だった

徳川家光

三代将軍


お藤

宗矩の側室

六丸の母

柳生 六丸

十兵衛の末弟

宗矩と お藤の子


お蔦

茶店の娘

撫子の幼なじみ


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