孤羊閣 NPCのロールプレイ指針

文字数 4,449文字

・園田みんとの行動

 1サイクルに1回、誰かがPCまたはNPCの秘密を獲得するごとに、園田は【目星】を行います。この時、PCには誰が【目星】を行ったかは告げず、「何者かが【目星】を試みた」とだけ告げてください。

 さらに各サイクルでPC全員が行動を終了したタイミングでマスターシーンを挿入し、そのタイミングで園田はPCの【秘密】を目標とした調査判定と、入手した【秘密】の所有者を目標にした【研究】を行います。この時も、1サイクル目と2サイクル目には園田の名前は出さないでください。ただし、3サイクル目には「(【研究】の目標となったPC)を追っているのは、園田みんと。すべてに絶望した表情である」と告げてください。

 園田は【秘密】が全員に行き渡らない限り、明るく気丈に振る舞います。その上で、さりげなくPCやNPCの行動の揚げ足を取り、仲間割れを起こそうとします。彼女の【秘密】を獲得したPCが表立って園田を糾弾した場合、園田は黙って姿を消し、以降【居所】を獲得しない限り登場することはありません。彼女は使われなくなったボイラー室に身を隠しています。

 首謀者と共犯者の正体について問われた場合、基本的に彼女はでたらめを言います。マフィアと「暗示を与える装置」については基本的に黙秘しますが、彼女は実際マフィアに言われるままPCやNPCの行動をモニタリングして提供しているだけで、詳しいことは何も知りません。孤羊閣が自分たちに襲いかかることに関しては、想定外でありながらも好都合だと考えています。

 園田はPCやNPCに対し「彼らはここを出て行ってまた罪を犯す。この自分も含め」「家族が自らの罪によってこれ以上破滅していくのは耐えられない」「その前に死なせてやるのが慈愛だ」と表層意識では考えています。しかし、実際のところ彼女は皆に見捨てられ、置いて行かれることを極度に恐れており、捨て鉢になっているのです。確かに彼女は《拷問》を持っており、嗜虐心もありますが、その本分はあくまで覗き趣味の変態であり、決して殺人に快楽を求めているわけでも、無慈悲な殺戮マシーンでもないことに注意してください。園田は家族が死んでいくことを悲しみながら、その家族を殺すのです。

・谷崎大悟郎の行動

 谷崎は常にタブレットPCを持ち歩いており、時々画面を確認します。PCがその画面を除こうとする場合、《情景》で判定を行います。成功した場合、いくつもの複雑なプログラムが同時に展開していることが分かります。谷崎はそれを見られるのを嫌がりますが、屋敷をコントロールしている首謀者ではないかと疑われた場合、「いや、実は逆なんだ。正直に言うと、孤羊閣をクラッキングしてるんだ」と言います。

 谷崎は自分の【本当の使命】を邪魔されたくないので、基本的にどのPC・NPCに対しても友好的に振る舞います。首謀者の一味の正体と目的が暴かれた場合でさえもです!ただし、PC①に襲われたくないとは感じており、「誰かに俺の【秘密】を話せりゃあな」と事あるごとにぼやきます。また、《電子機器》の特技を修得しているPCに対しては、「コンピューターをいじる場面があれば俺に任せてくれ、頼む。絶対だぞ」と釘を刺します。

 彼は孤羊閣へのクラッキングで以下の情報を得ています。彼の【秘密】を獲得したPCが「暗示を与える装置」について尋ねた場合や表立って谷崎を糾弾した場合、彼は情報をためらいなく開示します。


・首謀者“当代きっての闇ブローカー”は何らかの目的で自分を含めた「疑似家族」を作ろうと目論んだ。

・そのために首謀者は、裏社会で開発段階にある、音波とマイクロ波を用いた「暗示を与える装置」の被験者を志願し、さらに我々を巻き込んだ。

・この事件は首謀者のスポンサーであるマフィアによる「暗示を与える装置」の性能を測る実験でもある。その被験者となった我々をモニタリングし、マフィアに報告している人物が屋敷内にいる。それが首謀者と同一人物であるかどうかはわからない。

・試作品の「暗示を与える装置」はその存在を自覚していればほとんど効果がないし、自分たちの自由意思まで操ることはできないが、ある程度の認識の植え付けと記憶封印には確かに効果があった。これが完成し、裏社会で流通したら大変なことになるだろう。だが今の我々では流通を止める手段はないし、そもそも現状の問題に関係ない。

・孤羊閣内の「暗示を与える装置」は6つの場所に隠されていることがわかった。ただしメインコンピューターそのものを復旧しない限り、装置も再起動しない。そしてメインコンピューターのダメージは深刻だ。装置は、当分は無害だろう。

・そもそも洗脳が解けた時点で、マフィアにとって実験は終了しているはずだ。しかし、孤羊閣のメインコンピューターは「暗示を与える装置」を復旧させることを前提として活動しており、「洗脳が解け、もう閉じ込める意味がないので皆を屋敷から出す」発想はしないだろう。これはマフィアによる口封じではなく、実験が予想より早く強制終了されたことにコンピューターが対応できていないためである。コンピューターの設計者が悪い。

・救助は待っていればそのうち来る。マフィアの三下が食料と消耗品を届けに来るのだ。その時に異常に気付いて救援を要請、壁や罠を取り壊してでも我々を救助するだろう。“当代きっての闇ブローカー”やその他何人かの“当代きっての犯罪者”は裏社会に必要な存在なのだ。

 谷崎はメインコンピューターを制御できさえすれば、死んでも構わないと考えています。また周囲の要望に応じ、孤羊閣を去ってもよいし、残ってもよいと思っています。彼は園田と月本が首謀者の一味であることをなんとなく感づいていますが、積極的に口に出そうとは考えません。むしろ彼女らのささやかな幸福を奪ってしまったことに罪悪感を抱いています。しかし、彼が最終的に優先するのは【本当の使命】です。どうしてもそれを邪魔しようとする人物が現れた場合、彼は最悪の場合、殺してでも排除しようとします。

・月本紗那恵の行動

 月本は基本的にどのPC・NPCに対しても友好的に振る舞います。自分や一味の正体と目的が暴かれた場合でさえもです!というより、できるだけ誰かにすり寄ろうとします。PCの誰かが彼女に優しい言葉をかけた場合、彼女はそのPCについて行こうとするでしょう。

 彼女は以下の情報を思い出しています。彼女の【秘密】を獲得したPCが自分たちをどのように洗脳したか尋ねた場合や表立って月本を糾弾した場合、彼女は情報を涙ながらに、しかし思いのほかあっさり開示します。


・自分は裏社会で開発段階にある、音波とマイクロ波を用いた「暗示を与える装置」の被験者を志願した。「暗示を与える装置」は自分に対する打算もすり寄りもない見ず知らずの犯罪者を、「家族」にするために有効だと考えたからだ。そして皆を拉致した。

・各人がどんな犯罪者だったかは、まだ思い出せない。

・この事件は自分のスポンサーであるマフィアによる「暗示を与える装置」の性能を測る実験でもある。我々の行動はモニタリングされているが、具体的にどのようにモニタリングされているかはまだ思い出せない。

・試作品の「暗示を与える装置」はその存在を自覚していればほとんど効果がないし、自分たちの自由意思まで操ることはできないが、ある程度の認識の植え付けと記憶封印には確かに効果があった。これが完成し、裏社会で流通したら大変なことになるかもしれないが、自分の知ったことではない。

・孤羊閣内の「暗示を与える装置」はどこに仕掛けられているかあえて伝えられていない。場所は6ヶ所と聞いている。我々がこの状況を自覚したのは、装置が何らかの理由で停止したからだ。

・そもそも洗脳が解けた時点で、マフィアにとって実験は終了しているはずだ。装置が止まってなお、孤羊閣のメインコンピューターが今なお自分たちを閉じ込めている理由はわからない。ひょっとしたら、マフィアの誰かが自分たちを邪魔に思って口封じしようとしているのかもしれない。自分やその他何人かの“当代きっての犯罪者”は裏社会に必要な存在であるはずだが。

 共犯者の正体について問われた場合、彼女は「マフィアに金を渡してやったことよ、この屋敷にあたしの仲間はいない」と嘘をつきます。PC②と園田をかばうためです。PC②や園田の【秘密】を知っているPCからの追求を受けた場合、「すべてはあたしがそそのかしてやったことで、責められるべきはすべてあたし……後生だからそれで納得して」と頭を下げ、あくまで共犯者をかばおうとします。PC②や園田の【秘密】を自分が知った場合は、何とか説得を試みようとします。

 月本は【本当の使命】を果たすために同情を引こうとはしますが、徒労ではないかと考えています。そもそも彼女は確実に皆に対して罪悪感を抱いており、拒絶されても仕方ないと考えているのです。誰かが彼女を拘束しようとした場合、おとなしく従います。また、彼女は自分以外の誰かが争い、傷つくことを極力避けようとします。【本当の使命】のためにもう一度誰かを洗脳するのは、もう無理があるし意味もないと感じているのでしません。ただし、自分に命の危機が訪れた場合は、彼女なりに全力で抵抗します。

・孤羊閣について

 孤羊閣は自分から戦闘を仕掛けません。孤羊閣のメインコンピューターは「暗示を与える装置」が復旧する前提で活動しており、誰かを積極的に殺害しようとも、セキュリティを解除し住人たちを出そうとも考えません。これは実験が予想より早く強制終了されたことにコンピューターが対応できていないためです。例外は自分をハッキングしている谷崎ですが、これも孤羊閣の【秘密】が公開されていない場合、哨戒ロボットを使って3サイクル目に試みるのみです。

 孤羊閣には隠しカメラがいくつも仕掛けてあります。PCが「カメラがないか調べる」ことを宣言してゾーキングを行った場合、シーンプレイヤーに《物陰》または《カメラ》で補助判定を行わせてください。成功すれば、登場したシーン内に隠しカメラがあることに気付くでしょう。隠しカメラはどこにでもあり、一度補助判定に成功したシーンでも再び出てきます。

 また、「食堂のテーブル」「玄関ホールの階段」「マイセンの壺の台座」「ワインセラーの壁」「書斎の椅子」「中庭の植木鉢」に、不自然な空洞があります。これはPCが「罠や目立たない仕掛けがないか調べる」「暗示を与える装置の場所を調べる」ことを宣言してゾーキングを行い、シーンプレイヤーが《罠》での補助判定に成功した場合見つけることができます。その空洞を壊した場合、中から文庫本ぐらいの大きさの機械が見つかります。園田、谷崎、月本の3人はこれが停止した「暗示を与える装置」であることを知っていますが、【秘密】が知れ回っていない限り口には出しません。

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