感謝祭には帰るから 結末

文字数 2,495文字

・エージェント・カオスソーサラーが勝者となった場合の、地域に取り残されたPC
 該当するPCたちは、コンクリートの壁がむき出しの部屋で目を覚まします。ここは恐怖の輪です。PCは一様に、それまでの記憶を失っています。
 この部屋には窓があり、外を覗くとあたり一面が泥沼に沈み、人々が異形の怪物に拷問を受けている光景が広がっています。PCたちのいる部屋の入口に、明らかに人間のものでない影が映るところでシーンを終了します。
・征服者が勝者となった場合の、地域に取り残されたPC②以外のPC(PC②は征服者に回収されます)
 該当するPCたちは戦場の前線、燃え盛るニューヨークの街にいます。ここは恐怖の輪です。敵はアメリカ軍、PCたちには最新型の光線銃とタコめいた頼れる上司がいます。PCたちは戦場において無敵であり、銃弾飛び交う日々に満ち足りており、幸せな気持ちになります。
 PCたちは、逃げ遅れた敵の民間人の集団を発見します。PCたちは、そいつらを皆殺しにしてやりたい気分になります。
・PCが勝者となった場合の、地域に取り残されたPC
 月日は11月の中旬。時間は朝。該当するPCたちは、この地域の元いた自宅で目を覚まし、たった一人で食事の席に着きます。当時のアメリカのどの家庭にも見られる、普通の朝食です。ここは恐怖の輪です。
 PC、そしてほかの工員たちが時間をおいて続々と工場に出勤してきます。今日もまた、宝石工場で仕事です。PCたちはここの社員です。大切な人や家族、そんなものはいません。とにかくここで宝石を作って、業者に渡す。それだけです。
 そうこうしているうちに感謝祭の午前0時です。PCたちはヒステリックに叫びたてる暴徒に襲われ、追いかけ回され、棒やナイフで致命傷を負ったところで意識が途切れます。
 月日は11月の中旬。時間は朝。該当するPCたちは、この地域の元いた自宅で目を覚まし、たった一人で食事の席に着きます。当時のアメリカのどの家庭にも見られる、普通の朝食です。
・PC①④の世界、果樹園
 きらきらと輝く空。蠱惑的に捻じ曲がった果樹。そして、血のごとく赤く熟れた果実たち。そこには人間の世界ではありえない、しかし美しい光景が広がっています。PC①④以外のPCがいれば、《生物学》で判定を行わせてください。成功すれば、何らかの処置を取らなければ果樹がいずれは皆枯れてしまうだろうということがわかります。具体的な処置については、(その場にいれば)PC①に決定させてください。これはPC①にしかできない仕事です。
 一部の果樹の枝の隙間から、果樹園とは別の風景が見えます。そこは別の世界と繋がっているのです。収穫したフルーツを送ることも、そこに飛び込んでその世界に行くこともできます。PC①④が許せば(いない場合も)、元の世界に帰ることもできるでしょう。
・PC②の世界、征服者の本拠地
 そこは何らかの生物学的な実験室になっています。タコのような生物がやってきて、PCたちをねぎらいます。PC②には、「よくぞ帰ってきてくれた。感謝祭、君の予測した時間通りだ」と言います。彼は征服者のひとりです。このタイミングで、征服者に【情報】やプライズを渡すことができます。
 彼は話し始めます。「今回の出来事で、黒い服の男たちの科学技術について、結構有力な情報を手に入れることができたよ。奴らの行動理念は、まだわからんがね。ともかく、君らのおかげで奴らを出し抜き、並行世界の支配をまた進めることができる」
 そして、近くにあったガラス板に、誰もいない白い海岸が映し出されます。「給料は指定の口座に。しばらくはゆっくり静養するといい。この並行世界の季節は夏で、この海岸はナポレオン3世とかいう奴の領土……たしか南フランスだったか、そこを占領したものだ。秋の終わりに海水浴という贅沢も、なかなか乙なものだよ」
・PC③が【本当の使命】を「この世界から抜け出すこと」に変えた場合、PC③の本来の世界
 具体的な描写は、PC③に決めさせてください。21世紀の日本かもしれませんし、19世紀末のロンドンかもしれません。ともかく、PC③は本来の世界に帰ってきました。そして、PC③は思い出します。誰かに、「感謝祭には帰る」と約束したことを。
・PC③の世界、「黒い服を着た男たち」の【本当の居所】
 PC③が【本当の使命】を変えずに舞台となる地域に残った場合も、ひとまずこの場所に呼ばれることになります。
 花畑の中に、一軒家が建っています。真っ黒な喪服に身を包んだ美女が、ベランダの安楽椅子に座っています。PC③は、彼女が上司であると認識します。
 彼女は話し始めます。「我々は……いや、私は世界移動者が悪であるとは思っていないし、恐怖の輪に彼らが閉じ込められることも、気の毒だとは思っている。ただ、彼らの魂が世界間の知識やエネルギーに触れ、より高次の存在となって多くの世界に彼らの因子がばらまかれるのは、無限の並行世界を脅かすことになりかねない。だからこそ、我々は真実を隠蔽しなければならない。欺瞞でもって管理しなければならないのだ。同じ世界移動者として」
 PC③がいる場合、彼女はPC③を抱きしめます。彼女の肩は震えています。「よくぞ戻ってきてくれた。よくぞ我々を選んでくれた。感謝祭の馳走は、たんと用意してあるほどに」
・PC⑤が恐怖の輪から脱出した場合
 他のPCに同行できなかった場合、PC⑤は憑依した肉体のいた世界に飛ばされます。具体的な描写は、PC⑤に決めさせてください。21世紀の日本かもしれませんし、19世紀末のロンドンかもしれません。
 PC⑤は偉大なる種族としての、本来の記憶や技術を完全に取り戻します。PC⑤は、【圧倒的知識】【精神乗っ取り】(『デッドループ』P215参照)をただちに修得します。
 PC⑤は時間的・空間的制約から自由です。飛ばされた先の世界で新しい知識を蓄えるのが順当な行動でしょうが、飽きたら別世界の知性体に取り憑いてもよいでしょう。何となれば、望む限り無限に感謝祭を楽しむことすら可能なのです!
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