孤羊閣 概略

文字数 1,735文字

シナリオの舞台

 このシナリオは、「本当は怖い現代日本」のセッティングを使用したシナリオです。シーン表は、このシナリオに収録されている「孤羊閣シーン表」を使用してください。

背景

 “当代きっての闇ブローカー”月本紗那恵は家族愛に飢えていました。彼女は自分に対する打算もすり寄りもない家族を欲していました。しかし、彼女は「罪に汚れた自分を、罪もない人間が理解できるはずがない」「“当代きっての犯罪者”くらいの邪悪な人物でないと、互いに理解することができない」と考えていました。しかし“当代きっての犯罪者”が、おいそれと自分に共感してくれるとはとても思えません。

 そんな時彼女は、裏社会である装置が開発されていることを知りました。音波とマイクロ波を用いて認識を植え付け、ある程度の記憶混濁を引き起こす「暗示を与える装置」です(正式名称は決まっていません)。これを使えば“当代きっての犯罪者”を自分の家族と思わせることができると考えた月本は、その作動実験の被験者に志願し、縁のあるマフィアに自分の所有する「孤羊閣」を巨大な実験装置に改造させたのです。

 そして仲間であるPC②、園田みんとと協力し、自分の知る限りの“当代きっての犯罪者”を孤羊閣に拉致、装置の力で1つの家族であると思わせることに成功したのです。そして月本はより深く「家族」に溶け込むため自分自身をも装置の影響下に置きます。“当代きっての覗き魔”である園田は装置の影響を受けない立ち位置で「家族」をモニタリングし、マフィアに報告する業務を請け負いながらも「家族」との生活と窃視に心からの喜びを感じていました。

 この計画には誤算が少なくとも3つありました。1つは、厳密には“当代きっての犯罪者”ではなく更生の余地のあるPC③を「家族」に加えたこと。1つは装置が各人の欲望までも制御することができなかったこと。“当代きってのブラックハット・ハッカー”である「家族」のひとりである谷崎大悟郎はある夜、その欲望ゆえに孤羊閣のメインコンピュータにクラッキングを仕掛け、偶然「暗示を与える装置」を停止させてしまったのです。あと1つは、孤羊閣のメインコンピューターに、実験を停止して住人を解放するというプログラムが仕組まれていなかったことです。メインコンピューターは実験継続のため、住人が外へ出ることを妨害します。

 谷崎が「暗示を与える装置」を停止させた後、PCたちが目覚めるところからセッションは始まります。

プレイヤー人数・レギュレーション・リミット・狂気

 このシナリオは、4~5人用です。できれば5人で遊ぶのが望ましいでしょう。

 PCはアビリティを3種類修得します。「本当は怖い現代日本」のワールドアビリティが使用できます(「まとめサイト」は禁止します)。

 リミット数は、人数に関わらず3です。

 『インセイン』の通常の【狂気】すべてと【陰謀論】【頑迷】、『デッドループ』の通常の【狂気】すべてから【憑依】を取り除いたものと【虚無感】【望郷】をすべて1枚ずつ用意してください(『デッドループ』はなくても構いません)。そして、それをシャッフルして、プレイヤー人数×4枚の山札を作ります。

プライズ

 このシナリオには、3つのプライズがあります。

 1つは「大金」です。PC③は月本紗那恵に屋敷内の出納管理を任されていました。このプライズが話題になった時、金庫の中に入っているか、どこかに隠してあるかはPC間で決めさせてください。いずれにせよ、最初にプライズを所持しているのはPC③です。

 1つは「マイセンの壺」です。これは2階の廊下に最初から飾ってありますが、導入フェイズの時点では持ち出して一定の距離を離れると警報が鳴り響き、廊下に仕掛けられたシャッターが下りて移動できなくなってしまいます。最初にプライズを所持しているのは孤羊閣です。孤羊閣に勝利することでシャッターのロックを解除することができます。

 最後の1つは「メモリーカード」です。「マイセンの壺」の中に入っていますが、「マイセンの壺」の秘密が公開された時点で、「マイセンの壺」を入手する必要なしに獲得できます。この中には園田みんとが盗撮した屋敷内外の撮影データが入っています。

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登場人物紹介

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