感謝祭には帰るから クライマックスフェイズ

　感謝祭当日の午前０時。にわかに外が騒がしくなります。民族優越主義団体が本格的な暴動を起こし、あちこちで放火や殺人をして回っているのです。工場も襲撃されます。「あの工場は、異民族を雇用している！」という叫び声が、どこからか聞こえてきます。
　ＰＣたちも、どのような民族であれ、ヒステリックに叫びたてる暴徒に襲われ、追いかけ回されます。ここでＧＭは、ＰＣ全員に《情景》で判定を行なわせてください。成功したＰＣは、地域の空間のあちこちが、奇妙に捻じ曲がっていたり、ほつれのような黒い穴が開いていたりすることがわかります。判定に成功したＰＣは、《混沌》で恐怖判定を行います。

　どこをどう逃げたのか、ＰＣたちは全員、ＰＣ①の自宅の前にたどり着きます。玄関前の空間には縁がほつれたような、大きな虹色の穴がぽっかりと開いています。ＰＣたちは、なぜか「ここに入れば、自分の本当の家に帰れるのではないだろうか」という考えが頭の中をよぎります。

　その時、ＰＣ①の配偶者……カオスソーサラーが玄関の柵の角から押し出されるように（新兵器をＰＣに奪われていたら、普通に走ってきて）現れます。カオスソーサラーはＰＣたちに軽蔑のまなざしを向け、「いい加減、あの工場で働くのも飽きただろう。そろそろ転職させてやる。なに、お前たちの心臓を一突きするだけだ。目が覚めたら、別の場所にいるだろうさ」と言います。そしてカオスソーサラーが指を鳴らすと、ＰＣ①の子供たち……と見せかけたカオスソーサラーの部下たちが、物陰から次々と現れます

　カオスソーサラーは、部下のひとりに「例のモノの分析は済んだか」と尋ねます。部下は、フルーツを奪われていれば「それが……奪われてしまいまして」と口ごもります。カオスソーサラーは「馬鹿者ォッ！！あれは化物から奪った貴重品なんだぞ！！」と怒鳴り、部下一人一人を指さし何事か呟くと、部下全員が泡を吹いて倒れ伏します。そして「クソッ、喰ったのか！？お前ら何ともないんだな！？ならばＰＣ①は次の恐怖の輪で拷問する！！あの果樹園の次元座標を吐いてもらうぞ！！」とＰＣたちを睨みます。

　部下がフルーツを奪われていなければ、「こちらに！リスクは許容範囲内です！」と、フルーツをカオスソーサラーに投げてよこします。カオスソーサラーは「よしよし、これで私は完全に無敵だ。あらゆる世界を征してやるぞ！」と汚い笑い顔でフルーツを齧ります。そしてやおら両腕を上にあげると、部下全ての体が雑巾を絞るように捻じ曲げられ、出血し潰れます。カオスソーサラーは「ハハハハハ！どうやらフルーツの力は単純な破壊力となって発現したようだな！」と哄笑します。山札に余裕があれば、ここでＰＣ全員に《緊縛》で恐怖判定を行わせてもよいでしょう。

　ＰＣ①がカオスソーサラーに何か話しかけてきた場合、「貴様は上からの命令で、私のもとで飼い殺しておいただけだ。だが私は組織を抜けるので、もう貴様の面倒を見る義務はない」と吐き捨てます。ＰＣ③が何か話しかけてきた場合、「今貴様を始末したら目立つので生かしておいた。だが組織との縁を切るにあたり、貴様は単純に脅威だ」と身構えます。

　この時点でＰＣ①が果樹園の【秘密】を獲得していた場合、ＰＣ①は戦闘に伴う緊張状態により、怪異としての本来の姿に変身します。果樹園の【秘密】を持っていないＰＣに、《地底》で恐怖判定を行わせてください。

　戦闘になります。敵は、エージェント・カオスソーサラー１人です。ＰＣ④がＮＰＣであった場合、ＰＣ④も登場します。この戦闘では、カオスソーサラーが行動不能になるまでの間は、猛攻の選択ルールを使用してください（カオスソーサラーが行動不能になれば、即座に適用が解除されます）。

　この戦闘において自発的な脱落を行う場合、自分の元いた世界、または【居所】を持っているハンドアウトの世界に行くことができます。特に指定がなければ、自分の元いた世界に戻ることになります。また、この戦闘の勝者は、行動不能になった敗者を、自分の世界に捕虜として連れ帰ることができます。

　３ラウンド目の終了時に、三本足の巨大な乗り物が１機、突如虹色の穴から出てきます。痺れを切らしてＰＣ②を迎えにきた征服者です。征服者の兵器は手あたりしだいにあたりを破壊し始めます。ＰＣ全員、《兵器》で恐怖判定を行います。以降、戦闘に「征服者」１体が参加します（【戦場移動】が宣言されていない限り、４ラウンド目のプロットは征服者のみが行います）。このタイミングで征服者に【情報】やプライズを渡すことはできません。征服者は自分に従うような発言をしないＰＣ、およびカオスソーサラーを攻撃し、戦闘の勝者になろうとします。