10月2日 台湾選手が受けた差別と台湾を感動させた国際的抗議

文字数 1,622文字

 実はわたし、最近ちょっと「仕事でばたばた+体調不良(腰痛)」のため、暫くの間は、好きな作者さまたちの連載を追うだけの「読み専」の日々を送る予定だったのですが、今台湾を賑わせているホットなニュースをどうしても紹介したくなって、この日記を更新することにしました。

 先ず、事件の経緯をご説明します。
 9月28日、フリーダイビング団体のアプネア国際振興協会(AIDA)が、素潜りの世界選手権の模様をユーチューブでライブ配信した際、出場者の名前を映し出す画面で、台湾の選手だけ国旗を表示せず、空白にしました。これは、台湾の国旗を認めない中国に対する、あからさまな配慮でした。

 これだけなら、このニュースは台湾国内で怒りを巻き起こしただけだったでしょう。ところが、今多くの台湾人が感動を覚えています。何が起こったのでしょうか。
 実は参加国のうちの十か国が、この台湾に対する不公平な待遇に抗議の意を表するため、自国の国旗も削除するようAIDAに求めたのです。最終的にはAIDAが謝罪し、ようやく事態は収束をみました。

 抗議した十か国とは――日本、アメリカ、ロシア、クロアチア、オランダ、オーストラリア、韓国、フランス、ドイツ、スロベニア等です。

 特に日本フリーダイビング協会は、一番最初にフェイスブックでAIDAに対する抗議声明を出しました。下の写真を御覧下さい。



 先ず、今回の事態が中国当局からの圧力であることを明確に説明した上で、次のような抗議を行っています。



「私たちは台湾だけが不利益を負っている状況を看過できません。私たちは台湾と痛みを共有したいと思います。」「私たちはスポーツに政治が干渉することを許しません」。

 日本フリーダイビング協会、かっこいい! 惚れましたよ、わたしは!

 日本国内ではよく、「日本はお金を出すばかりで、外国の人からあまり感謝されていない」などと報道されることがあり、多くの人がそう思ってしまっているところがあるような気がしますが、そんなことはありません。
 日本は、海外でこんなすばらしいことをしているし、それがちゃんと伝わって、大きな感動や感謝の気持ちを生んでいるのです。

 例えば、蔡英文総統はフェイスブックで、台湾を支持してくれた国々に対し、正式な謝意を表しましたが、その中で「特に日本フリーダイビング協会がすぐさま台湾の側に立ち、 率先して自国の国旗の削除を要求して下さったことに対し、本当に強い感動を覚えました」と述べています。下の写真を御覧下さい。



 謝長廷駐日代表も、やはり自らのフェイスブックでこの事件に言及しました。下の写真を御覧下さい。



 謝代表は、日本フリーダイビング協会の声明に、「目頭が熱くなり、涙が滲んだ」と書き、更に自分の感動の理由を以下のように説明しています。

 台湾はこの何十年もの間、常にこうした圧力や悪意に晒されてきたし、そうしたものに対し、たった一人、孤独に向き合うことに慣れてしまっていた。

 謝代表は、多く台湾人が自分と同じように、「責め苦を受けながらも苦痛を訴えず、ひたすら耐えて妥協する性格になってしまっていたのではないか」と述べています。

 台湾人が「世界の孤児」として、国際舞台で常に不当な扱いを受け続けてきたこと、それに対する怒りや遣る瀬なさは台湾人の心の中に沈潜し、いつか諦念のようなものに変わってしまっていたということ……。
 そうした台湾人の気持ちを、日本人が真に理解するのは難しいことだと思います。日本人は――日本は、歴史的にこうした経験を持っていないからです。

 わたしは、普通の日本人よりは台湾人の気持ちがわかるのかもしれません。でも、それだけです。本当の意味で「台湾人を理解している」なんて大それたことは、わたしはとても口にできません。

 でも……

 この「でも……」が、わたしにこの日記を書かせる原動力になっているようです。

 ささやかで、なんとも頼りない小さな声ですが――。
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