11月28日 台湾映画「月老」と輪廻転生
文字数 2,227文字
今日、映画を観てきました。
タイトルは「月老 」。今大ヒットしている台湾映画です。
日本でも上映された『那些年,我們一起追的女孩(邦題:あの頃、君を追いかけた)』と同じく、台湾の人気作家九把刀 が原作・脚本・監督の全てを担当しています。
いやあ、これがですね、予想以上によかったんですよ~‼
ある部分から最後まで、わたしもうずっと泣いてました。おかげでマスクが濡れてしまって、危うく呼吸困難になりかけました……っていうのはさすがに大袈裟ですが、でも涙の洪水の中にも笑いが混じるところがこの映画――と言うか、台湾映画の特色ですね。台湾映画には独特のユーモアがあります。うまく説明できないのですが、観ていると、「あ、これ台湾映画だ」と感じるところがあるんです。
この「月老」のストーリーですが、ざっくり紹介すると、デミ・ムーアが主演した昔のアメリカ映画「ゴースト/ニューヨークの幻」にちょっと似ています。
ただ、「月老」の特色として挙げられるのは、縁結びとか輪廻転生などの東洋的な思想や宗教観が映画の重要な要素になっている点だと思います。
「月老」とは、縁結びの神様のことです。
日本では「月下 氷人 」と称されるのですが、これは「月下老人 」と「氷人 」という二つの異なる中国伝説が混同された結果だと言われています。
台湾、中国では、縁結びの神様は「月下老人」、または略称的に「月老」と呼ばれ、この神様が紅い糸を結んだ二人は必ず結婚すると考えられています。
それから、輪廻転生思想。
主人公の男性が、冒頭いきなり雷に打たれて死んでしまうのですが、その後、あの世の案内所(?)みたいなところで、自分の前世が何であったかを知らされます。かつて自分が豚や蝉、それからゴキブリ(!)だったこともあると知らされて唖然とする主人公が笑いを誘います(輪廻転生するので、前世がいくつもあるわけです)。
しかも、かつて蝉だったことが最後の感動に収斂されるという巧みな伏線にびっくり!!
まさか蝉に心を揺すぶられるとは思いませんでした。だって蝉ですよ、セ・ミ!
中華世界の民間信仰では、輪廻転生する前に「孟婆湯 」というスープを飲まされることになっています。このスープを飲むと、前世の記憶を全て失ってしまうんです。この映画では「孟婆湯」が、まるで日本の銭湯の瓶入りコーヒー牛乳みたいに描かれていて、そういうディテールも面白かったです。
そして、肝腎な主演の俳優さん、女優さん。
素敵でした!
男性主人公は、「あの頃、君を追いかけた」でも主役を演じた柯震東 さん。ヒロインは、この『台湾日記』の「3月2日 饅頭と我的少女時代」でも紹介した宋芸樺 さん。
今台湾映画界で一番ホットな俳優さん、女優さんと言っていいのではないでしょうか。ふたりは初共演みたいですが、息もぴったりですばらしかったです。
でも、わたし的に最高の演技賞ものだと思ったのは、「阿魯 」!
この「阿魯」って、犬なんですけど、ネット記事※1に拠れば、主演の柯震東をして「神犬」と呼ばしめたというのですから、その演技力は折り紙付きですね。しかも、この「阿魯」という名前、作者九把刀自身の、今はこの世にいない愛犬の名前だったんだそうです。ネット記事には、「因為學不會離別,只好用電影與阿魯再次相遇(「離別」をまだ受け入れられないので、せめて映画の中で阿魯ともう一度会うことにしたんです)」という九把刀の言葉が紹介されていて、わたし再び涙腺崩壊!
この「阿魯」がね(いきなり馴れ馴れしい口調になるわたし)、「月老」になってこの世に戻ってきた石孝綸 (柯震東)に逸早く気づいて、走って迎えに行くの。それでね、夜道の向こうにちゃんと座って、石孝綸をじーっと見つめるの。
――ああ、わたし、もうここでだめでした。このシーンから最後までずーっと泣きっぱなし。はは!
そう言えば、最近、youtubeでちょっと見た石田衣良さんの小説講座の中で、石田さんが「小説を書きたい人は日本の小説だけじゃなく、海外の小説も読んだ方がいい」みたいな内容のことを話されていて、「なるほどなあ」と思いました。やっぱり日本の作品だけに接していると、限られた狭い範囲の題材や、テンプレ的な描き方に偏っていってしまいがちなわけですよね。
小説だけじゃなくて、映画についても同じことが言えるんじゃないでしょうか。ただ、今の日本では海外作品から学ぶと言うと、どうしても欧米もののイメージが強い気がするのですが、台湾の映画や小説、漫画にも刺激的で面白い作品はたくさんありますので、アンテナはアジアの方にも張ってみるべきだと思います、わたしは。
そういう台湾の作品の数々を、今後もこの日記で紹介していきたいと思っています。
では、最後に今日観た映画「月老」の予告編※2と主題歌「如果可以(もしできるなら…)」※3のURLを貼っておきます。(ああ、主題歌聴いただけでうるうるしちゃう!)
※1 「《月老》評價超高熱淚不斷!狗狗阿魯是九把刀去世愛犬:「因為學不會離別,所以用電影再次相遇」URL: https://www.elle.com/tw/entertainment/drama/g38356078/till-we-meet-again/
※2 URL: https://youtu.be/gEqXgmrgGgM
※3 URL: https://youtu.be/8MG--WuNW1Y
タイトルは「
日本でも上映された『那些年,我們一起追的女孩(邦題:あの頃、君を追いかけた)』と同じく、台湾の人気作家
いやあ、これがですね、予想以上によかったんですよ~‼
ある部分から最後まで、わたしもうずっと泣いてました。おかげでマスクが濡れてしまって、危うく呼吸困難になりかけました……っていうのはさすがに大袈裟ですが、でも涙の洪水の中にも笑いが混じるところがこの映画――と言うか、台湾映画の特色ですね。台湾映画には独特のユーモアがあります。うまく説明できないのですが、観ていると、「あ、これ台湾映画だ」と感じるところがあるんです。
この「月老」のストーリーですが、ざっくり紹介すると、デミ・ムーアが主演した昔のアメリカ映画「ゴースト/ニューヨークの幻」にちょっと似ています。
ただ、「月老」の特色として挙げられるのは、縁結びとか輪廻転生などの東洋的な思想や宗教観が映画の重要な要素になっている点だと思います。
「月老」とは、縁結びの神様のことです。
日本では「
台湾、中国では、縁結びの神様は「月下老人」、または略称的に「月老」と呼ばれ、この神様が紅い糸を結んだ二人は必ず結婚すると考えられています。
それから、輪廻転生思想。
主人公の男性が、冒頭いきなり雷に打たれて死んでしまうのですが、その後、あの世の案内所(?)みたいなところで、自分の前世が何であったかを知らされます。かつて自分が豚や蝉、それからゴキブリ(!)だったこともあると知らされて唖然とする主人公が笑いを誘います(輪廻転生するので、前世がいくつもあるわけです)。
しかも、かつて蝉だったことが最後の感動に収斂されるという巧みな伏線にびっくり!!
まさか蝉に心を揺すぶられるとは思いませんでした。だって蝉ですよ、セ・ミ!
中華世界の民間信仰では、輪廻転生する前に「
そして、肝腎な主演の俳優さん、女優さん。
素敵でした!
男性主人公は、「あの頃、君を追いかけた」でも主役を演じた
今台湾映画界で一番ホットな俳優さん、女優さんと言っていいのではないでしょうか。ふたりは初共演みたいですが、息もぴったりですばらしかったです。
でも、わたし的に最高の演技賞ものだと思ったのは、「
この「阿魯」って、犬なんですけど、ネット記事※1に拠れば、主演の柯震東をして「神犬」と呼ばしめたというのですから、その演技力は折り紙付きですね。しかも、この「阿魯」という名前、作者九把刀自身の、今はこの世にいない愛犬の名前だったんだそうです。ネット記事には、「因為學不會離別,只好用電影與阿魯再次相遇(「離別」をまだ受け入れられないので、せめて映画の中で阿魯ともう一度会うことにしたんです)」という九把刀の言葉が紹介されていて、わたし再び涙腺崩壊!
この「阿魯」がね(いきなり馴れ馴れしい口調になるわたし)、「月老」になってこの世に戻ってきた
――ああ、わたし、もうここでだめでした。このシーンから最後までずーっと泣きっぱなし。はは!
そう言えば、最近、youtubeでちょっと見た石田衣良さんの小説講座の中で、石田さんが「小説を書きたい人は日本の小説だけじゃなく、海外の小説も読んだ方がいい」みたいな内容のことを話されていて、「なるほどなあ」と思いました。やっぱり日本の作品だけに接していると、限られた狭い範囲の題材や、テンプレ的な描き方に偏っていってしまいがちなわけですよね。
小説だけじゃなくて、映画についても同じことが言えるんじゃないでしょうか。ただ、今の日本では海外作品から学ぶと言うと、どうしても欧米もののイメージが強い気がするのですが、台湾の映画や小説、漫画にも刺激的で面白い作品はたくさんありますので、アンテナはアジアの方にも張ってみるべきだと思います、わたしは。
そういう台湾の作品の数々を、今後もこの日記で紹介していきたいと思っています。
では、最後に今日観た映画「月老」の予告編※2と主題歌「如果可以(もしできるなら…)」※3のURLを貼っておきます。(ああ、主題歌聴いただけでうるうるしちゃう!)
※1 「《月老》評價超高熱淚不斷!狗狗阿魯是九把刀去世愛犬:「因為學不會離別,所以用電影再次相遇」URL: https://www.elle.com/tw/entertainment/drama/g38356078/till-we-meet-again/
※2 URL: https://youtu.be/gEqXgmrgGgM
※3 URL: https://youtu.be/8MG--WuNW1Y