3月3日 台湾でできる! 超有名日本アニメの「聖地巡礼」!

文字数 1,877文字

 宮崎駿監督の『千と千尋の神隠し』で、主人公の千尋が迷い込む不思議な町。

 スタジオジブリからの公式発表こそないものの、あの町のモデルになったのではないかと言われているのが、台湾北部の新北市にある九份です。

 
(画像はO-DANの無料素材からお借りしました)

 夜には赤い提燈に灯りが(とも)り、その幻想的な光景を目の当たりにすると、正にファンタジー映画の中に身を置いているような気分になる……そうです。

 そうです、というのは、出不精(でぶしょう)のわたしは、この有名観光地に行ったことが一度もないからで、現場レポートができず申し訳ありません(ペコリ)。

 今回皆さんに紹介したいのは、九份ではありません。九份は、落語で言えば「まくら」でして、本題は太麻里鄉というところです。

 ちなみに、落語の導入部をなぜ「まくら」と称するかというと、「頭につく」からなんですね。落語一口メモでした。

 太麻里鄉というのは台湾東南部の台東縣にあり、風光明媚な土地として知られています。

 その太麻里鄉の、とある「平交道」(踏切)が、某超有名日本マンガ・アニメの「聖地」として、観光スポットになっているのです。

 いったい何という作品でしょうか。

 中国語訳は――『灌籃高手』となります。

 この漢字を見ただけでわかったら、中国語のセンスがおありですよ!

 せっかくですから、直接正解をお教えするのではなく、少し解説しましょう。

「灌籃」というのは、バスケットボールのダンクシュートのこと。「高手」は達人とか名手の意味です。

 つまり、直訳すれば、「ダンクの達人」。

 90年代に『週刊少年ジャンプ』で連載され、社会現象にまでなったバスケットボールマンガと言えば――

 もうおわかりですよね?

 そうです。最近、新作映画が話題になっていた『スラムダンク』です。

 太麻里鄉には、90年代に一世を風靡したテレビアニメ版『スラムダンク』のOP(オープニングテーマ)に登場する、「あの踏切」があるのです。

 いやいやいや、それはあり得んだろ、南ノ!

 はいはい、今皆さんのツッコミが耳に痛いほど聞こえました。

 わかっていますよ、(おっしゃ)りたいことは。

 実はわたし、『スラムダンク』って、なんとなくストーリーを知っている程度なのですが、それでも「あの踏切」が鎌倉——もっと言えば、江ノ電の「鎌倉高校前駅」の近くにあることくらいは知っています。

 ところが、驚く(なか)れ――

 太麻里鄉には、「櫻木花道平交道」(桜木花道の踏切)と呼ばれる踏切が存在するのです。

 その写真が、これ。

 
(画像は「太麻里鄉公所」のホームページからお借りしました)

 似てる……の、かな?

 いや、これはもう似てるんですよ!

 台湾の人たちが「桜木花道の踏切」だと言っているのだから、「

」なんです!


 異論がありますか。

 太麻里鄉に来て、アカペラで「君が好きだと叫びたい」を歌ってくれたら、異論を受けつけると台湾の友人が言っていたので、異論のある方は、そうして下さい。それ以外の異論は、全て却下だそうです。

灌籃高手(スラムダンク)』は、間違いなく、台湾で最も有名な日本マンガ・アニメの一つです。台湾で最も盛んなスポーツがバスケットボールであることもあり、世代を超えて愛されているのですが、新作映画『THE FIRST SLAM DUNK』が上映されたことで、再び大きな盛り上がりを見せているのです。

 さて、三年ぶりに海外旅行が解禁されて以来、日本旅行へ行く台湾人は非常に多いです。

 わたしの知り合いたちのSNSも、今「日本祭り」状態になっている感があるのですが、とは言っても、もちろん皆が皆、海外旅行に行けるわけではありません。

 それならせめて台湾国内で日本旅行気分や日本アニメの「聖地巡礼」気分を味わおうかな、という人たちで、この太麻里鄉の「櫻木花道平交道」、今やちょっとしたブームになっているそうです。

 つい二日前、フェイスブックで、こんな写真も見ました。


(画像は「Tyfd-K9桃園搜救犬隊」のフェイスブックからお借りしました)

 この『台湾日記』ですっかりお馴染み(?)の救助犬も、旅行で台東を訪れ、「ココはおさえておかなきゃ」とばかりに記念撮影。

 かっわいい~‼

 写真の上の中国語の意味は――

 晴子...你...怎曬黑了!(晴子、ど、どうして陽に焼けたの?!

 です。

 それにしても、ここまで日本のカルチャーを理解し、愛してくれる国は、世界広しといえど台湾以外にはないと改めて思います。

『スラムダンク』をよく知らないわたしが言うのもなんですが、やっぱり、しみじみありがたいことではないでしょうか。
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