3月6日 熱炒とわたしの客家アンテナ
文字数 1,984文字
お酒が好きな人にお薦めの台湾料理は、「熱炒 」でしょう。
「熱炒」は、ざっくり言うと、強火でがんがん炒める料理です。日本人が抱く中華料理のイメージに一番近いかもしれません。
「熱炒」店はすごくにぎやかです。金曜の夜とか、大叔 同士で卓を囲み、台灣啤酒 (台湾ビール)をがぶがぶ飲みながら、大声でしゃべっている光景をよく見かけます。このての店は、密閉式の店舗ではなく、開放式と言うのか、道路から店の中が丸見えみたいな構造のところが多く、道の方にまで声がダダ洩れです。
わたしはこういうお店は数えるほどしか行ったことがないのですが、今日偶々 入った餐廳 が、所謂「熱炒」店ではないにも拘らず(お酒が置いていない)、メニューが「熱炒」的な料理が多くて、なかなかおいしかったです。
今日食べたものを写真に撮ってきましたので、御覧下さい。
先ず「蚵仔酥 」。台湾式カキフライとでも言いましょうか。「オアソ」というのは、台湾語(閩南語)の発音です。
緑色の葉っぱのようなものは、「九層塔 」(バジル)です。
次が、「蔥爆羊肉 」。
羊肉(ラム)は、日本ではあの匂いが受けつけられないという人が多いみたいですが、台湾では鍋の具でも何でも、肉の種類を選べるところにはたいてい、牛肉、豚肉と並んで羊肉があり、ごく一般的です。ちなみに私は羊肉が好きで、牛・豚・羊から一つ選ぶという時には、羊を選ぶことがけっこう多かったりします。
最後が、わたしの大好物「客家小炒 」です。
「五花肉 」と呼ばれる豚のバラ肉と、「乾魷魚 」(スルメイカ)を一緒に炒めるところが一番の特徴で、そこに「豆干 」や葱、ニンニク、唐辛子等が加わります。
老闆 に直接確かめたわけではないので、当たっているかどうか知りませんが、わたしはここの老闆は「客家人 」じゃないかなあと思いました。メニューに「客家小炒」があったからではありません。これは一般的な台湾料理の一つで、「熱炒」店には必ずありますので、それだけで判断することはできないのです。
ではどうしてわかったかと言うと、わたしの「客家アンテナ」に反応したからです。
「ゲゲゲの鬼太郎」の鬼太郎の能力の一つに妖怪アンテナっていうのがあるのをご存知ですか。鬼太郎が「ビビッ」と妖気を感じると、その髪の毛の一部がぴんと立つんです。これが「妖怪アンテナ」です。
まあ、わたしは別に髪の毛が逆立ったりはしないんですが、「あ、この人たぶん客家人だな」とわかる瞬間があり、それを勝手に「客家アンテナ」と呼んでいるのです。
このエッセイでも前に紹介した通り、1945年の日本敗戦を境として、それ以前から台湾に住んでいた漢族を「本省人」、1945年以降、蒋介石率いる国民党と一緒に台湾に渡ってきた漢族を「外省人」と称するのですが、「本省人」は更に「閩南人」と「客家人」とに分かれます。
ただし、「閩南人」と「客家人」の人口比率は1:1ではなく、「閩南人」がマジョリティー、「客家人」がマイノリティーで、それは「閩南語」が「台語」(台湾語)と呼ばれるのに、「客家語」はそう呼ばれないことにも表れています。
このように、人口的には少数派であるにも拘らず、わたしは台湾に来て以来、なぜか客家人の方と接する機会が多く、おかげで「客家アンテナ」を獲得するに至りました。
客家人のお店というのは、雰囲気でわかります。なんとなく古ぼけて見える店が多いのですが、よく見るとテーブルも椅子も年代物の感じはあるものの、ぴかぴかに掃除してあります。わたしの中の客家人のイメージは、節約を美徳として、且つ几帳面できれい好き。派手さはないが、誠実で地に足の着いた感じ。
閩南人が客家人に対して抱くイメージの一つは「ケチ」なんだそうですが、角度を変えて見れば、無駄なお金を使わない節約精神と言えるのではないかと思います。
食べ終わって出ようとした時、店の壁に標語と言うのか、格言と言うのか、こんな言葉の書かれた紙が貼ってあるのを見つけました。かなり年配で痩躯の、そして笑顔を絶やさない老闆 の雰囲気ととても合っている気がしたので、ここに紹介することにします。
讀好書 (好 き本を読み、)
說好話 (好 き言葉を語り、)
行好事 (好 き行いをし、)
做好人 (好 き人となれ。)
平凡な言葉でも、その時の気分とか、その場の雰囲気とかで印象的に感じることがありますね。今日は雨が降っているせいか、お客さんも少なかったけど、とても感じのいいお店でした。そこで見たせいか、不思議に忘れがたく心に残りました。
晩御飯食べただけなのに、なんとなく勉強させてもらった気分です。
さて、今日は久しぶりの雨ということで、BGMは周杰倫の「聽見下雨的聲音」(雨音を聴く)にしました。
URL:https://youtu.be/zqKoXPHhmsM
「熱炒」は、ざっくり言うと、強火でがんがん炒める料理です。日本人が抱く中華料理のイメージに一番近いかもしれません。
「熱炒」店はすごくにぎやかです。金曜の夜とか、
わたしはこういうお店は数えるほどしか行ったことがないのですが、今日
今日食べたものを写真に撮ってきましたので、御覧下さい。
先ず「
緑色の葉っぱのようなものは、「
次が、「
羊肉(ラム)は、日本ではあの匂いが受けつけられないという人が多いみたいですが、台湾では鍋の具でも何でも、肉の種類を選べるところにはたいてい、牛肉、豚肉と並んで羊肉があり、ごく一般的です。ちなみに私は羊肉が好きで、牛・豚・羊から一つ選ぶという時には、羊を選ぶことがけっこう多かったりします。
最後が、わたしの大好物「
「
ではどうしてわかったかと言うと、わたしの「客家アンテナ」に反応したからです。
「ゲゲゲの鬼太郎」の鬼太郎の能力の一つに妖怪アンテナっていうのがあるのをご存知ですか。鬼太郎が「ビビッ」と妖気を感じると、その髪の毛の一部がぴんと立つんです。これが「妖怪アンテナ」です。
まあ、わたしは別に髪の毛が逆立ったりはしないんですが、「あ、この人たぶん客家人だな」とわかる瞬間があり、それを勝手に「客家アンテナ」と呼んでいるのです。
このエッセイでも前に紹介した通り、1945年の日本敗戦を境として、それ以前から台湾に住んでいた漢族を「本省人」、1945年以降、蒋介石率いる国民党と一緒に台湾に渡ってきた漢族を「外省人」と称するのですが、「本省人」は更に「閩南人」と「客家人」とに分かれます。
ただし、「閩南人」と「客家人」の人口比率は1:1ではなく、「閩南人」がマジョリティー、「客家人」がマイノリティーで、それは「閩南語」が「台語」(台湾語)と呼ばれるのに、「客家語」はそう呼ばれないことにも表れています。
このように、人口的には少数派であるにも拘らず、わたしは台湾に来て以来、なぜか客家人の方と接する機会が多く、おかげで「客家アンテナ」を獲得するに至りました。
客家人のお店というのは、雰囲気でわかります。なんとなく古ぼけて見える店が多いのですが、よく見るとテーブルも椅子も年代物の感じはあるものの、ぴかぴかに掃除してあります。わたしの中の客家人のイメージは、節約を美徳として、且つ几帳面できれい好き。派手さはないが、誠実で地に足の着いた感じ。
閩南人が客家人に対して抱くイメージの一つは「ケチ」なんだそうですが、角度を変えて見れば、無駄なお金を使わない節約精神と言えるのではないかと思います。
食べ終わって出ようとした時、店の壁に標語と言うのか、格言と言うのか、こんな言葉の書かれた紙が貼ってあるのを見つけました。かなり年配で痩躯の、そして笑顔を絶やさない
平凡な言葉でも、その時の気分とか、その場の雰囲気とかで印象的に感じることがありますね。今日は雨が降っているせいか、お客さんも少なかったけど、とても感じのいいお店でした。そこで見たせいか、不思議に忘れがたく心に残りました。
晩御飯食べただけなのに、なんとなく勉強させてもらった気分です。
さて、今日は久しぶりの雨ということで、BGMは周杰倫の「聽見下雨的聲音」(雨音を聴く)にしました。
URL:https://youtu.be/zqKoXPHhmsM