1月30日 小吃と中華世界の民間療法 ※閲覧注意‼

文字数 2,400文字

 えーとですね、台湾は今、旧正月休み中です。

 明日の31日が「除夕(チュウ・シィー)」(大晦日)で、2月1日から3日までが「春節(チュン・チィエ)」で、4日が「立春」。そして5日、6日が土日になりますから、要するに今週末から来週末までお休みというわけです。

 で、わたしが何をしているかと申しますと……

 だらだら、
 だらだら、
 だらだら……。

 ふだんでも暇さえあれば、だらだらしているわたしですが、なにしろ旧正月ですから、これはもう公明正大にだらだらですよ! 文句のある人は前に出てきなさい!(珍しく強気になるわたし)

 ところが、食っちゃ寝生活というのは、どうも胃にきますね。台湾料理(中華料理)というのは基本的に肉料理中心で脂っこいものですが、「ああ、もうお肉見たくない!」状態になったわたし。
 今日の晩御飯は、前にこの日記でもご紹介した「米粉湯(ミィ・フェン・タン)」であっさり済ますことにしました。

 でも、「米粉湯」だけというのもさすがにちょっと物足りない。こういう時、一緒に頼むといいのが「小吃(シィアオ・チィー)」です。

「小吃」は、日本語では「小皿料理」と訳されることが多いようです。確かにレストランでは、小皿に乗って出てきます。量が少なくて、しかも種類が多いので、メインがちょっと物足りない時には、「小吃」を一緒に注文するのがGOOD!

 で、お肉に食傷気味のわたしが、どんな「小吃」を食べたかというのが、今日のお話なのですが……

 はい、ここから閲覧注意です!
 グロいものが苦手な方は、ここで引き返した方が無難でございます。(もう御忠告しましたよ!)

 ※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※


 さて。
 まだお読み下さっている皆さんは怖いもの見たさ……いや、グロいのも平気な「剛の者」だという理解の下、話を先に進めさせていただきます。
 先ず以下の写真を御覧下さい。



 上図が「脆腸(ツゥイ・チャン)」、下図が「生腸(シェン・チャン)」です。

 さて、これは一体何なのか?

 豚の器官なのですが、名前から想像がつきますでしょうか?

 正直に言いますが、わたしも台湾に来たばかりの時は、こういうのは殆ど食べられませんでした。
 それがこの頃では、わざわざ自分から頼むようになってしまうとは! ああ、歳月って……。

 かつてのわたしと台湾の友人の会話を以下に再現します。

わたし:「こ、この【脆腸】って何なの⁈」
友人:「まあ、とりあえず食べてみなさいって!」(何かわかると食べない恐れがあるので、こういう言い方をする)
わたし:(【脆】って食感が「しこしこ」してるってことだよなあ)と思いながら、おそるおそる箸でつまんで口の中へ。
友人:どう?
わたし:あ、けっこうあっさりしてるのね。本当に食感が脆脆(しこしこ)
友人:おいしい?
わたし:う、うん。まあ、ね…(友人の笑顔に警戒心が働くわたし)。そろそろ種明かししてよ。
友人:これは豚の卵管。
わたし:げっ!(固まる)
友人:はい、じゃあ、次。【生腸】を食べてみて。
わたし:ちょっと待って! 生の腸ってこと⁈
友人:そんなわけないでしょ! よく見てよ。
わたし:確かに茹でてあるみたい。じゃあ、なんで【生】って言うのよ。
友人:だから、とりあえず食べてごらんなさいって。
わたし:(豚の卵管を食べてしまったショックから正常な判断ができず、ふらふらと箸を伸ばしてしまう)…あ、これはけっこうおいしい! タレも合うね。
友人:(黙って微笑む)
わたし:はい、食べたわよ。種明かししなさいよ。
友人:これはね~~豚の~~子宮~~でした。
わたし:げげげっ!!!(お前は鬼太郎かとセルフツッコミ)
友人:びっくりした?
わたし:(涙目)いじめられた、台湾人にいじめられた~!
友人:ちょっと泣かないでよ。台湾の食文化を紹介しているだけなんだから。
わたし:それにおかしいじゃない! なんで子宮が【生腸】なのよ。
友人:これはね、子供を「生」む「腸」っていう意味なのよ。
わたし:……(絶句)

 とまあ、こんな会話がかつてありました(遠い目)。
 確かに「腸」には、日本語でも「はらわた」という読み方があって、内臓全般を指す場合もあるわけですが、それにしても「生腸」って……。※

 こんなふうに、漢字表現というのは、時にびっくりするほど直截的だったりします。

 一般的に、中華世界では平気で動物の内臓を食べます。
 しかも単に食材としてではなく、民間療法とも関係があるのです。

 中国語に以形補形(イィ・シィン・プゥ・シィン)という言葉があります。
 これは、自分の身体の器官に問題があった場合、それと同じ「形」の器官を摂取することによって治療することを意味します。

 つまり――

 心臓が悪い人は動物の心臓を、肝臓が悪い人は肝臓を、腎臓が悪い人は腎臓を食べればよくなる、と古代の中国では信じられていて、それが今でも中華世界の民間療法として残存しているというわけなのです。

 実際、現代の台湾でも、心臓が悪い人が豚の心臓を食べるなんてことがあるんだそうです。
 
 あっ、誤解のないように申し上げておきますが、今回わたしが食べたものは民間療法とは関係ありませんよ!

 この民間療法に医学的根拠がないのは、いくら理系の頭を持ち合わせない南ノでもわかります^^;

 中華世界の民間療法と一口に言っても、台湾の場合はまだ理性的で、聞くところによると中国大陸ではもっとすごくて、例えば頭に問題がある場合には……いや、もうやめましょう。これ以上言うと、グロいを通り越してホラーの領域に踏み込む気がしますので。

「閲覧注意」とあらかじめお断りしましたが、ここまで読んで下さった方の中で、もし気分が悪くなった方がいらしたら、申し訳ありません。

 次回は、もう少しきれいな話題にしたいと思いますので、どうかあきれないで下さいませ~‼ 

※ 「生腸」というのは、本文でご紹介したように動物の内臓を使った「料理」の名称であり、人体の器官としてはこの単語は使いませんので、ご注意下さいませ。
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