3月11日 「臭」が付く台湾料理と味覚の許容範囲

文字数 1,460文字

 一般的に「外国人が食べられない」ということになっている台湾料理の代表格はなんでしょうか?

 知名度では、まず間違いなく――

臭豆腐(チョウ・トゥ・フ)」!

 日本のバラエティー番組でも、「(しゅう)(どう)()」なんて呼ばれて、時々紹介されてるみたいですね。
 所謂リアクション芸人と呼ばれる方々が、ここを(せん)()とばかり、「うわぁあああ、これはキッツいわ~~~~‼」なんて絶叫したりしている様が目に浮かぶようです。

 はっきり言いましょう。
 あれは、嘘です。テレビに騙されてはいけません。

 「臭豆腐」は全然臭くないです。臭いと思ったとしたら、あなたの嗅覚がおかしいのです。
 わたしは道を歩いている時、ふわりと「臭豆腐」の匂いが漂ってくると、こう思います。

「なんて香ばしい!」

 むしろこれが、通常の感覚というものです。

 ……と言ったら、やはりこちらに住んでいる某日本人に、「嘘つけ」と冷ややかに言われました。

 あれあれ?

「食べられることは食べられる。でも、やっぱりあれは(くさ)い! うっかりあの屋台の傍を通ったりすると、一瞬

かと思う」(某日本人談)

 ド、ドブ⁈ な、なんてひどい言い草……(ショック)。
 この方の鼻には根深い偏見と先入観が蓄膿症気味に詰まっているんじゃないかと思ったんですが、ただ、わたしはわたしで、台湾に来たその日に屋台で「臭豆腐」を食べて「おいしい!」と思ってしまった人間なので、やっぱりあまり当てにならないのかも……。

 なんだか自信がなくなってきたので、とりあえず皆さんに実物を見ていただきましょう。



 これは「炸臭豆腐(ジャー・チョウ・トゥ・フ)」と言って、油で揚げた臭豆腐です。どうですか、この表皮の黄金色の輝き!
 おいしそうでしょ? ね? ね?(あれ、皆さんの反応が聞こえなーい。なぜだろう……)
 
 ちなみに、白っぽいのは台湾式キムチです。「炸臭豆腐」には欠かせません。

 「炸臭豆腐」は、からっと揚げてあるせいか臭いもあっさりしていて、臭豆腐の入門編と言えます。
 これをクリアできた方は、中級編に進みましょう。

 中級編は「臭臭鍋(チョウ・チョウ・グゥオ)」です。写真は、これ。

 

 これは簡単に言うと、臭豆腐が入った鍋です。この間、「Uber Eats」で出前を頼みました。台湾では鍋料理も出前ができます。赤いのは「辣豆瓣醬(ラー・トゥ・バン・チィアン)」。辛いタレです。
 油で揚げるより、こうして煮た方が臭豆腐の匂いは強まります。だから、「臭臭」と字を二つ重ねているのかもしれません。

 えっ? 見た目がグロいって?!

 何を甘ったれたこと言ってるんですか! いいですか、これくらいペロリと食べられないと台湾で生きてはいけませんよ。
 いや、別に台湾で生きていけなくてもいいって……まあ、そうですよね。失礼しました。はは!

 ただですね、これは統計をとったわけではなく、あくまでわたしの感じなのですが、どうも女性より男性の方が味覚の許容範囲が狭いようです。
 例えば、前にうちの両親が台湾に来たことがあるのですが、母はけっこう、「あれもおいしい、これもおいしい」って感じで台湾料理を楽しんでいたのですが、父はもう全然だめ。食事の度に文句ばかり言うんで、最後は呆れてしまいました。
 あれでは、海外旅行の楽しみも半減してしまうだろうと思うんですがねえ……。

 さて、そろそろ今日のBGMの時間ですが、これまで紹介してきた台湾の歌手はベテラン、大御所的な人がほとんどだったので、今日は新世代というか、若手歌手を取り上げたいです。
 鼓鼓(クゥ・クゥ)の「為愛而愛」。とっても可愛い曲です。URL:https://youtu.be/8nQpO6gbV94

 





 

 
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