2023年12月31日~2024年1月2日 

文字数 1,542文字

12月31日:

12月31日の晩は、台湾各地——台北、台中、台南などで年越しライブが行われる。会場でカウントダウンを行い、日付が変わると同時に花火が打ち上げられるというのが毎年の恒例だ。

私もテレビでそういう台湾のライブ中継を見ていた。日本の紅白もNHK海外で観られるのだが、正直今年の紅白は面白くなくて、すぐにチャンネルを変えてしまった。

台南でのライブに出演した、台湾の実力派シンガーソングライター・周興哲(チョウ・シン・ジェ)さんの歌声が、いかにも2023年最後の夜の雰囲気に合っていて、心に沁みた。

周興哲さんの代表曲を二曲ほどご紹介したい。

先ずはライブでも歌われた「永不失聯的愛」

URL:
https://youtu.be/WJK8486VjfU?si=9m5pexeesj1IUzKf

次は、わたしのお気に入り曲:「你,好不好?」

URL:
https://youtu.be/wSBXfzgqHtE?si=h7WqQd05Ik_65-hk

※附記
「你,好不好?」の歌詞について、少し解説:
中国語の歌詞は対句を多用する傾向があるのですが、この曲にも印象的な対句が出てきます。例えば、以下の歌詞——
「能不能繼續 對我哭 對我笑 對我好(今まで通り、僕に向かって泣いたり、僕に向かって笑いかけたり、僕にやさしくしたりしてくれないの?)」
「繼續讓我 為你想 為你瘋 陪你老(今まで通り、君のために考えたり、君のためにクレイジーになったり、君と一緒に歳を重ねたりさせてよ)」
御覧の通り、見事な対句になっています。また、中国語は「1字1音」なので、「對我哭 對我笑 對我好」と「為你想 為你瘋 陪你老」の部分は意味的に対句なだけでなく、「3音、3音、3音」の連なりが繰り返される構造になっています。このため、周興哲さんの美しい歌声が畳みかけるように迫ってくる感じが出るんですね。


1月1日:

お雑煮を作った。わたしは関東出身なので、お雑煮と言えば東京風のあっさりしたお雑煮だ。

ただ、台湾で手に入る材料を使っているところがミソ。「小松菜」の代わりに、わたしは油菜(ヨウ・ツアイ)という野菜を使う。

三つ葉の代わりに香菜(シィアン・ツァイ)」(パクチ)を入れようかと一瞬思ったが、すんでのところで思い止まる。(さすがにこれは違う気がした)。

静かな雰囲気の中で飛び込んできた能登半島地震のニュース。

SNSで情報収集。NHKの山内泉アナウンサーの中継での呼びかけを聞く。涙が出た。東日本大震災の教訓から、NHKが緊急時の報道の仕方を変えていたこと、山内アナウンサーが新人時代に金沢放送局に勤務していたことを知る。


1月2日:

地震の正式名称が「令和6年能登半島地震」になったことを知る。

引き続き、地震に関する情報収集をしていたら、今度は羽田空港での日本航空海上保安庁の航空機の衝突事故。あまりのことに絶句。

海上保安庁の航空機に乗っていた6人の方のうち5人が死亡とのこと。被災地へ物資を運ぶ航空機が……。「痛ましい」などという言葉ではとても表現できない。

せめてもの救いは、日本航空の乗客・乗員379人全員が脱出できたこと。この日本航空の速やかな避難誘導が、台湾でも「奇跡と呼ぶにふさわしい」と報道されている。


  (台湾「三立新聞網APP」より)

「緊急時には90秒以内に全員が脱出する」という訓練が功を奏した由だが、台湾のマスコミは日本航空の対応だけでなく、乗客が「冷靜坐著等指令」(冷静に座ってCAの指示を待っていた)ことも称賛している。確かに乗客がパニック状態に陥っていたら、大惨事は免れなかったに違いない。

これもSNSで見たが、CAの鋭い声による指示が、津波の危険を伝える山内アナウンサーの声と重なって、また涙が出た。人を救うのは、やっぱり人なのだと改めて感じる。
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