第3章 第1話

文字数 415文字

「そうか… やはり景徳山と塩山は近いんだな?」

「はい。それが何か?」

 物凄い勢いでパソコンを使って業務している庄司に、申し訳ないと思いつつ問いかけてしまう。

「実は来月の初旬の土日で甲府に行くんだが、」

「ソレって、『幻の湯』探索の頃じゃないですか」

「ああ。君達はまさか日帰りではないよな?」

「ハイ。金曜日の夜にバスで現地入り。土日の二日間で探索する予定ですが何か?」

 全体会議で決定した予定では登山部隊のみ現地入りし、他の企画部員は自宅待機である。

「成る程。そうか。じゃあ、俺も土曜の夜は塩山に泊まろうかな」

 パソコン入力の手を止め、俺に向き直り、

「金色夜叉…もとい。奥様…。もとい。あの、パートナーの方とご一緒ですか?」

「そうなんだよ。彼女の娘が甲府に住んでいて、土曜日塩山に墓参りに一緒に行く予定なんだよ」

「それでは、専務夫妻… もとい、専務方に部屋一つ取っておきましょう」

 俺は満面の笑みで、

「ああ、そうしてくれると助かるな」
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