第4話 第11章
文字数 649文字
「えー、また缶詰なの? 出版って大変なんだねー」
夜勤帰りの直子が僕の作ったスクランブルエッグを突きながら眠そうに、
「売れると良いね。華も塁も喜ぶだろうねー」
「そうか、キミも子供達も僕の本知らないんだよな…」
「そう。作家だなんて一ミリも思ってないから」
直子が吹き出しながらフォークを口に運ぶ。
「それ… 酷くね?」
「で、いつ出版されるの?」
「早ければ十二月かな。塁は受験の佳境だよな」
「いっぱい売れたら塁も勉強頑張るんじゃない? 頑張れよ、青木先生!」
「鋭意努力致します。」
「貴和ちゃんによろしくね!」
直子が寝室に入り、一通りの家事を済ませた後、僕は一人御茶ノ水へ向かう。そしていつものホテルではなく、水道橋方面に坂を下った所にある小さいながら風情のあるシティーホテルにチェックインする。
「それでさ、その彼が最近ちょっと変なんだよね…」
「どんな風に?」
「こないだゴルフ行ったらさ、100叩いちゃったんだよ。OB連発でさ。あんなの初めて見たよー」
僕は胸にチクリと痛みを感じる。
「ゴルフだけは上手いんだけどなあ」
僕の大胸筋を指でなぞりながら
「俺くん、ゴルフしようよっ」
「ゴルフね… 止まってる球打つなんて簡単過ぎて…」
「野球やってたもんね、飛ばすんだろうなー」
胸のわだかまりを抑えながら、
「その彼に教えて貰おうかなー」
彼女は急に身を起こし、
「そうしなよ! 一緒に三人で行こうよ!」
「まきちゃん… いい眺めだよ」
慌てて胸を両手で隠す。唇を尖らせ拗ねた表情が愛おしく、そのまま押し倒してしまう。
夜勤帰りの直子が僕の作ったスクランブルエッグを突きながら眠そうに、
「売れると良いね。華も塁も喜ぶだろうねー」
「そうか、キミも子供達も僕の本知らないんだよな…」
「そう。作家だなんて一ミリも思ってないから」
直子が吹き出しながらフォークを口に運ぶ。
「それ… 酷くね?」
「で、いつ出版されるの?」
「早ければ十二月かな。塁は受験の佳境だよな」
「いっぱい売れたら塁も勉強頑張るんじゃない? 頑張れよ、青木先生!」
「鋭意努力致します。」
「貴和ちゃんによろしくね!」
直子が寝室に入り、一通りの家事を済ませた後、僕は一人御茶ノ水へ向かう。そしていつものホテルではなく、水道橋方面に坂を下った所にある小さいながら風情のあるシティーホテルにチェックインする。
「それでさ、その彼が最近ちょっと変なんだよね…」
「どんな風に?」
「こないだゴルフ行ったらさ、100叩いちゃったんだよ。OB連発でさ。あんなの初めて見たよー」
僕は胸にチクリと痛みを感じる。
「ゴルフだけは上手いんだけどなあ」
僕の大胸筋を指でなぞりながら
「俺くん、ゴルフしようよっ」
「ゴルフね… 止まってる球打つなんて簡単過ぎて…」
「野球やってたもんね、飛ばすんだろうなー」
胸のわだかまりを抑えながら、
「その彼に教えて貰おうかなー」
彼女は急に身を起こし、
「そうしなよ! 一緒に三人で行こうよ!」
「まきちゃん… いい眺めだよ」
慌てて胸を両手で隠す。唇を尖らせ拗ねた表情が愛おしく、そのまま押し倒してしまう。