第38話 空前の大ヒット! 中国の歴史ドラマ

文字数 2,731文字

 君に勧む  惜しむ莫れ (なかれ)金縷(きんる)の衣を


 君に勧む  惜しみ取れ 少年の時を 

 
花開き 折るに堪へなば 直ちに (すべから)く 折るべし


 花 無きを待ちて 空しく 枝を折ること莫れ(なかれ)

 

 あなたに申し上げるが、金縷の衣装などは惜しむに足りない。

 生涯に1度しかない青春の時期を、他の何にもまして大切にしよう。

 花が咲いて見ごろになったら、すぐに折り取るがよい。

 花が散り終わった後に枝だけを折るようなヘマなことをしてはならない。


 これは何度も観た中国ドラマ『宮廷の諍い女(いさかいめ)』の中で皇帝の前で、まだ夜伽に召されていない側室が歌う。

「私を折り取って! すぐに!」

召されるときはなにも着ずに、布団にくるくる巻かれ皇帝の元へ抱えられていく。皇帝を傷つけるものを持ち込めないように。


『宮廷の諍い女』は元々は中国のネット小説。読まれた回数はスケールが違う。架空の時代のネット小説が、清の雍正帝(ようせいてい)時代に置き換えられ、とんでもないドラマになった。

2012年、中国をはじめ台湾・香港で一大社会現象を巻き起こし空前の大ヒット! これぞ中国版「大奥」の真骨頂。

(拙作『材料集め』68話より)

1722年の九子奪嫡(九人の皇子が玉座を巡っての殺し合い)の末、雍正帝(ようせいてい)は兄弟を追放し、康熙帝(こうきてい)唯一の後継者になり、清王朝五代目の皇帝となった。

同時に、後宮でも権力を巡って女達の諍いが浮上していた。漢民族である甄嬛(しんけい)は家族の復興の為、満州人の雍正帝の後宮に入った。そこには既に激しい争いが始まり、「雍正帝の皇后」と「大将軍の妹の華妃」の派閥に二分した。甄嬛は諍いを離れ、平穏に暮らすつもりだったが、雍正帝の寵愛を受けたことより、陰謀へ渦巻かれていった。(Wikipediaより)

『宮廷の(いさか)()』は「妃が皇帝を殺して皇太后となる」という物語を中心に、その過程の中で運用された人心掌握術・言葉使い・遣り取り方法に関して、中国では十数年の大討論を起こした。物語に描かれた様々な技により、その有効性や実用性の高さから中華圏では「甄嬛(しんけい)学」と呼ばれる程の社会現象が発生し、甄嬛伝への絶賛は今でも続けている。

中国の小説家の流瀲紫(リュリェンズ)によるインターネット上に発表された小説が原作となる。原作は架空の世界が舞台だが、テレビドラマは清王朝を舞台になっており、2011年末より2012年春にかけて放送された。

(Wikipediaより)

雍正帝は『三国志』の曹操役のチェン・ジェンビン。
金縷衣

安陵容(あんりょうよう)演 - タオ・シンラン安答応→安常在→安貴人→安嬪

ドラマ「宮廷の諍い女」の中では、皇帝の寵愛をめぐり、皇后と側室たちによる、激しい諍いが繰り広げられました。例えば、ヒロイン甄嬛(しんけい)と共に後宮入りした安陵容は家柄が低く、容貌では皇帝の目には止まりませんでしたが、美声により皇帝の寵愛を得しました。最初、安陵容は目立たない、一般の側室に過ぎませんが、彼女はあらゆる手を使い、皇帝を惹きつけます。ある日、皇帝と皇后が後宮の庭園を散歩していた時、安陵容は「金縷(きんる)の衣」という曲を歌いました。この曲を聞いた雍正帝(ようせいてい)は、歌のように清い美しさだ、と安陵容を褒めました。彼女はこの計画で、多くの側室がいる中、皇帝の注意を引く事ができました。ドラマの中で安陵容が歌った「金縷の衣」という曲は、唐の時代の漢詩を元に作られたものです。青春を惜しむことが歌われています。歌手、ベラ・ヤオの気持ちを込めた歌声が心を揺さぶります。

(宮廷の諍い女の音楽より)

琅琊榜 (ろうやぼう)麒麟(きりん)才子、風雲起こす〜』は、2015年の中国のテレビドラマ。全54話。中国の南北朝時代を模した架空の国・梁を舞台に繰り広げられる宮廷復讐劇。中国の作家、海宴(ハイイェン)による架空歴史小説のドラマ化。

2015年、中国版エミー賞『国劇盛典』では「影響力を持つドラマ」、「最優秀男優」など最多9部門で10冠を達成。男性版『宮廷の諍い女』と称され、中国本国では『岳飛伝』、『宮廷の諍い女』以上の高視聴率を獲得した。(Wikipediaより)


物語の舞台は中国の南北朝時代をモデルとした架空の小国、梁。宮廷では皇帝の跡継ぎをめぐり、皇太子と第5皇子の後継者争いが激しさを増していました。そんな中、2人は情報組織「琅琊閣(ろうやかく)」から 「麒麟(きりん)の才子を得た者が天下を得る」という情報を手に入れます。瑯琊閣は、どんな質問でもお金さえ払えば正確な答えを出してくれます。タイトルとなっている「琅琊榜(ろうやぼう)」とは、瑯琊閣が毎年発表する様々なランキングのことで、「天下十大富豪」「天下十大美人」などがありました。そんな中で、「天下十大公子」ランキングの一位を取り続けていたのが、「麒麟の才子」と呼ばれた梅长苏(ばいちょうそ)だったのです。ここでいう「麒麟」は中国の神話に登場する伝説の生き物で、仁徳ある王者や聖人が出現したときだけ人の目に触れるとされています。

梅长苏は『三国志』で天才軍師と呼ばれた諸葛孔明に勝るとも劣らない知略の持ち主。実は彼には、陰謀により一族を滅ぼされたという過去がありました。父を無念の死に追いやった者たちへの雪辱を果たすため、皇位をめぐる権力争いに身を投じていくという宮廷復讐劇です。物語は二転三転し、手に汗握る展開でハラハラさせられどおしの濃密なミステリー・サスペンスとなっています。(Wikipediaより)



梅長蘇(メイ・チャンスー):フー・ゴー江左盟の宗主。琅琊才人榜の首位。武術の心得は無いが配下に大勢の手練れを従える無敵の知謀者。赤焔軍の林殊が毒に侵され解毒する時に容貌が変わった。ある目的を果たすため蘇哲という偽名を名乗り都に入る。
穆霓凰(ム―・ニホアン):リウ・タオ雲南王府の郡主。武術の達人で琅琊達人榜に名を連ねる。林殊の幼少時からの友人で許嫁。
主人公を演じたのは中国のスター俳優 胡歌(フーゴー)で、このドラマで再ブレイクを果たしました。彼が梅长苏(ばいちょうそ)を演じて大きな話題になったのは、彼自身の経験が梅长苏の生きてきた道と重なるところがあったからだといわれています。というのも、人気絶頂だった彼は2006 年に交通事故に遭い、顔・首など100針以上を縫うほどの重傷を負ってしまったのです。もはや再起不能とまでいわれたのですが、努力し続けた結果2年後に見事カムバックしました。
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登場人物紹介

作者

英幸《えいこう》

亜紀 英幸の義母

英輔 英幸の父

美登利

瑤子 亜紀の従妹

幸子 英幸のママ 英輔の前妻

香《こう》

三島 英輔の会社の部下

圭 英幸の友人

葉月

夏生

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