第2話 テンペスト 第3楽章

文字数 407文字

幸子は貪欲に曲を聴く。貸したCDが頭の中で鳴っている。俺の好きな曲に共鳴する。

あなたは弾けないの? テンペスト。

子供に習わせたいわ。男の子に。テンペストを弾いてもらうの。

スローなテンペストだね。パパの好きな曲なのに。違うよ。ここだよ。

悪かったわね、下手で。坊や、弾けるの?

そのうち、瑤子さんよりうまく弾いてやる

声がよみがえる。会話がよみがえる。パパの好きな曲……を瑤子が弾こうとし、英幸(えいこう)君が教えていた。
発表会で弾いた。パパの好きな曲。先生の黒のドレスを着て女装して弾いた。

パパは亡霊を見た……

ベートーベンのピアノソナタ第17番、テンペストの第3楽章……月光、悲愴、熱情より好き。比べることでもないが。

テンペストは『冬のソナタ』でヨン様のママが弾いていましたね。

フジコ・ヘミングさんの演奏にしようと思ったけど、こちらの迫力に圧倒された。憧れの曲です。自分も大人になってから習い、超スローで練習しています。
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登場人物紹介

作者

英幸《えいこう》

亜紀 英幸の義母

英輔 英幸の父

美登利

瑤子 亜紀の従妹

幸子 英幸のママ 英輔の前妻

香《こう》

三島 英輔の会社の部下

圭 英幸の友人

葉月

夏生

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