第21話 紗也⑥

文字数 580文字

自分の気持ちを認めてしまうと、アタマの中は一気に恋愛モードになった。

瑛斗は、私のことをどう思ってるんだろ。

バレンタインのお返しは他のコと一緒でガッカリしたけど、よく考えてみたら、私のあげたチョコだって、佑樹と同じのだったんだ。

それよりも、5年生のあの日。
同じボールに手をかけた私たちの間には、絶対に今までと違う空気が流れてた。
一緒に帰ろうって言葉も告白みたいだったし、それから何度も一緒に帰った。

好きじゃなかったら、言わないよね?
好きじゃなかったら、一緒に帰らないよね?

あのリレーの時も、瑛斗はこっちを見た。
私の方を見た。



好きなのかな?
と思ってはドキドキして、
いや、違うな…
と思っては落ち込んで。

そんなこと毎日ぐるぐる考えてた。


そのうちまたバレンタインが近づいてきた。


今年は瑛斗に特別なものをあげよう。

絶対に。

前の日にチョコケーキを作った。
お母さんには、佑樹と瑛斗の分だって言ったけど、ほんとは瑛斗のだけだ。

これで瑛斗に私の気持ちは伝わるよね。

今年は佑樹についてこられたら困る。
だから先に瑛斗のとこに行くことにした。

瑛斗は、チョコケーキを受け取ったら何て言う?
「オレも紗也のこと好きだった!」って言うかな?
そしたらきっと、今までよりもっと、二人だけの楽しい時間が待ってる。



いいことばかり想像してたのに、実際の瑛斗の反応はこうだ。

「これ、チョコ?でかくない?」


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