第7話 瑛斗②

文字数 653文字

「ゆうちゃんも金管バンド入ったんだってー?」

「え?そーなの?」
母さんから聞いて初めて知った。

「…オレも入ろっかな」

「何言ってんのー、アンタはバスケがあるでしょー!金管バンドも朝練あるらしいじゃない?それにアンタ、楽器なんて興味あるの?」

「…ちょっと言ってみただけだし」


佑樹は朝も紗也と一緒に行ってんのかな。



4年になって、オレだけクラスが離れた。
帰りも二人と帰ることさえなくなった。

寂しかった。
けど、あきらめていた。

そのまま5年になった。

最初のクラブの時は何も考えてなかったけど、後期のクラブ決めの時、ふと思った。

佑樹か紗也と一緒のクラブになれたら一緒に帰れるかな。
そしたらまた3人でいられるようになるのかな。


第一希望、バドミントン。
佑樹は運動系だろうけど何だか読めない。
紗也は運動の中でいったらバレーかバドミントンだけど、バレーはないからコレかな。

一か八か。

そんなことしなくてもふつーに話しかければいいのかもしれない。

けど、二人との間に見えない壁を感じる。



クラブ発表の結果。
二人とも違うクラブになった。

けど、バスケクラブの紗也と後片づけが終わるのがいっしょくらいになった。


玄関で会ったけどいっしょに帰ろうって言えなくて、紗也は友達と帰っていった。

その後ろをそろそろと歩いてくと、紗也が友達と分かれた。

今だ!と思った。
「紗也!」

紗也がびっくりした顔で振り返る。

紗也のとこに走っていって並んで歩いた。

いつぶりだろう。

紗也はオレと少し間をあけて歩いた。

それが今のオレと紗也の距離のような気がして、寂しくなった。






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