第6話 瑛斗①

文字数 625文字

3人でいるのが、好きだった。

佑樹とオレの共通点は、運動が好きだというところだった。

違うとことは、佑樹はいろんなことに興味があって好奇心旺盛で、運動以外でも新しいことにどんどんチャレンジしてくところ。
オレは1つ夢中になると周りが見えない。
それしか見えない。

そこが大きく違うところだった。

でも、気が合ってた。
少し離れたからといって元に戻るのに時間はかからない。

そう思ってた。



幼稚園の頃は、ヒーローごっこに夢中だった。
紗也は女の子とか、そんなの関係なく、よくオレたちの遊びに加わってた。


紗也のお母さんが、オレと佑樹を紗也のナイトとよく言っていた。

それを初めて聞いたとき、紗也はオレたち二人とは違う、守ってやらなきゃいけない存在なんだと感じた。


ヒーローに憧れていたオレは喜んでその役回りを引き受けた。



紗也は、守ってやらなきゃ。
オレと佑樹で。




けど、そんな小さな頃の決意なんて、すぐに忘れる。

3人そろって同じクラスで小学生になった。

変わらず3人、いつもいっしょだった。


2年になって、オレは学校のミニバスに入った。

朝練もあったから、1人で登校した。
とにかくバスケが楽しくて、紗也と佑樹といるよりもバスケ仲間といることが増えていった。

放課後もバスケ仲間と一緒にいて、どんどん二人からは遠ざかっていった。

坂の上のオレの家から、坂道を下ってく二人の姿を、オレはよく見ていた。

何だかもう、あそこに入ることができない気がしていた。

そのくらい、遠く離れしまった気がしていた。




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